経営者と税理士と節税 ■井上税理士事務所 所長 井上 伸一
昨今の「収入の壁問題」に対応すべく、今年の年末調整から大きく変更点があります。今年の年末調整の変更点は大きく4つです。
①基礎控除の見直し
②給与所得控除の見直し
③扶養親族等の所得要件の改正
④特定親族特別控除
の創設です。
また、令和7年11月19日に所得税法施行令の一部改正が行われ、マイカーなどの交通用具を使用している給与所得者に支給する通勤手当の非課税限度額が引き上げられました。 この改正は、令和7年11月20日に施行され、令和7年4月1日以後に支払われるべき通勤手当について適用されます。 このため、改正前に、改正前の非課税限度額を超えた通勤手当を支払っていた場合には、年末調整での対応が必要となることがあります。
このうち、壁問題への対応は①と②になります。これまでは、合計所得が2,400万円以下の納税者には一律で48万円の基礎控除が適用されていました。今回の改正では、合計所得金額が2,350万円以下である場合に、所得に応じて段階的に58万円から95万円の基礎控除額が適用されることとなり、最大となる95万円の控除が認められるのは、合計所得金額が132 万円以下の場合です。
また、給与所得控除にも一部見直しが加えられ、年収が低い場合には控除額が引き上げられました。給与所得控除の最低額がこれまでの55万円から65万円に引き上げられました。つまり、基礎控除95万円と給与所得控除65万円を合わせると160万円となり、パート・アルバイトで160万円まで働いても所得税はかからないことになります。「160万円の壁」となりました。
しかし、住民税については110万円の壁、社会保険料については130万円の壁が依然として残っているので、注意がひつようです。
先日、税務署から皆様のお手元に年末調整に関する資料が送られてきたと思います。このところ、毎年書式が変更になっているような気がしますよね。今回は用紙が増えています。④特定親族特別控除に関するものです。年末調整の時期が近づくと皆様から色々とご質問をいただきますが、実際は年末ギリギリにならないと、仕事が年末調整モードにならないので、理解が進んでいません。早く理解しないといけないですね。
経営者と税理士と節税 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.174(2025年12月号)
プロフィール
井上 伸一(いのうえ しんいち) 【税理士】
井上税理士事務所 所長
昭和46年、福岡県生まれ。長崎青雲高等学校、立命館大学法学部卒業。
平成11年、税理士登録。平成23年、井上税理士事務所開業。
中小企業の経営指導のほか、企業経営者・医師等に向けて各種セミナーを行う。
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