経営者の知恵を後継者に残すことで100年企業の基礎を築きませんか

肯定的な言葉を遣いたい

当世ビジネス芯話

当世ビジネス芯話  ■編集人 宇野 秀史

以前、すごいと思う経営者とお会いした。その方は、経済的に成功しているだけでなく、多くの人からも慕われている。神輿に上がりたがるトップもいれば、周りから神輿に担ぎ上げられるトップもいるが、その人は後者のタイプだと感じた。人が自然と周りに集まってくる魅力を持っている。

なぜ、人が集まってくるのか。その人は、相手を緊張させない。威圧しないという方が近いかもしれない。話していても自分の力を誇示しようとしないし、自分を大きく見せようともしない。誰に対しても謙虚な姿勢を崩さず、常に自然体のように感じる。

これは、元々の人柄なのか自信があるから必要以上に自分を誇示する必要がないと考えているのか分からないが、こちらに与える心理的負担が軽いことは間違いない。話をしていて疲れない。むしろ、元気づけられているように感じる。

こういう人のためなら、役に立てることがあれば力を尽くしたいと思わせるものがある。
この人は、他人に頼ることなく、或は、他人の評価を基準とすることなく、自分が幸せになる方法を知っているのだろう。

最近、人の心について考える機会が増えた。関連する書物も読む機会が多い。
最近読んだ本では、人間の潜在意識が顕在意識に与える影響について書かれている。潜在意識は、顕在意識よりもはるかに大きく、人が瞬間的に判断する際に潜在意識の力が大きく左右するという。理屈では分かっていても、違った判断や行動をしてしまい、後で後悔するという事も潜在意識に影響を受けた結果である。

同じことを見聞きしても、「やりたくない」と思うか「楽しそうだからやってみよう」と思うか。失敗した原因を他人のせいにするのか、自分の問題として捉えるのか。こうした判断は、潜在意識に強く影響されることが多いし、それが日頃何気なく使う言葉となって現れるのだろう。

言葉といっても無数にあるが、心に良い影響を与える言葉を意識して使うことで、潜在意識の否定的な考え方を肯定的な考え方に変えることもできるという。その言葉が、「ありがとう」「愛しています」「感謝します」「許します」「楽しい」「大好き」などである。肯定的な言葉は否定的な言葉よりも力が強いとも。

そういえば、冒頭の凄経営者も会話の中で否定的な言葉を遣わない。陰口も言わない。それが、自信の心の健康を保つ1つなのかもしれない。言葉や意識によって潜在意識を良い方に変えることができるのであれば、良い言葉や考え方を習慣化すれば良いということになる。自戒も込めて、努めて肯定的な言葉を遣いたいものである。

当世ビジネス芯話  Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.100(2019年10月号)

プロフィール

宇野 秀史(うの ひでふみ)  ビス・ナビ編集人
昭和40年5月生まれ、熊本県出身。熊本県立第二高校、京都産業大学経営学部卒。出版社勤務を経て、独立。2017年7月、月刊ビジネス情報誌「Bis・Navi(ビス・ナビ)」を創刊。株式会社ビジネス・コミュニケーション代表取締役。歴史の知恵、偉人や経営者が残した知恵を綴る。また、経営者の知恵を後継者に伝える、知恵の伝承にも取り組む。

著書:『トップの資質』(梓書院、共著)、『田中吉政』(梓書院、解説)

コメント

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