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スタッフをもてなそう

当世ビジネス芯話

当世ビジネス芯話  ■編集人 宇野 秀史

以前、「迎え3歩、見送り7歩」について紹介した。「もてなし」や「お礼」の気持ちは、やはり形にした方がよいということを、最近また改めて感じた。

今回は、店での接客ではなく、店の外でのもてなしの表し方である。たまにお邪魔する店に伺った時のことだ。店に入ると店長と店員さんが丁寧に応対してくれた。食事を済ませて外に出る。
次の予定のために移動していると、15分ほど経った時、偶然にも店のオーナーと会った。「先ほど、店にお邪魔しましたよ」と声をかけようとすると、オーナーに「先ほどはありがとうございました。外出していて失礼しました」と先手を取られた。「もう店から連絡が入っていたのか」と驚くと同時に、「さすが!」と感心したものだ。

別の店でも同じようなことがあった。食事をしていて、そのことをSNSで発信すると、すぐにオーナーから店に連絡が入り、店員さんが席まで挨拶に来られた。お礼を言われるとやはり、嬉しいものだ。流行る店はこういうところが違うと思った次第である。

おもてなしを表現するのは、店の外でもできることを体感した。こうした対応ができるのは、トップをはじめスタッフの意識が高いからだろう。その上で、もてなしの心を育む風土があるのだと思う。「もてなしの心でお客様に接するように」といくらトップが口をとがらせても、組織内において自分がもてなしを受けたことのないスタッフが、お客をもてなせるはずもない。

繁盛する店は、商品も優れているが、店のトップ自身に魅力があり、スタッフがその魅力に浸ることができている環境を作り上げているのであろう。マニュアルを身に付けさせることも大事だが、それ以前に、スタッフをもてなすことを実践してみてはいかがだろうか。

当世ビジネス芯話  Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.122(2021年8月号)

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プロフィール

宇野 秀史(うの ひでふみ)  ビス・ナビ編集人
昭和40年5月生まれ、熊本県出身。熊本県立第二高校、京都産業大学経営学部卒。出版社勤務を経て、独立。2017年7月、月刊ビジネス情報誌「Bis・Navi(ビス・ナビ)」を創刊。株式会社ビジネス・コミュニケーション代表取締役。歴史の知恵、偉人や経営者が残した知恵を綴る。また、経営者の知恵を後継者に伝える、知恵の伝承にも取り組む。

著書:『トップの資質』(梓書院、共著)、『田中吉政』(梓書院、解説)

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