承前啓後 アイディア編(9) ■異業種交流会「VAV倶楽部」会長 近藤昌平さん

他人と同じようなものを売れば、競争が生まれる。競争が過熱すれば、行きつく先は値下げ合戦となる。値下げ競争は消耗戦であるから生き残れるのは、資本力の大きい方だ。中小零細企業が採るべき戦略ではない。
中小零細企業は、やはり独創的なアイディアを考え、商品やサービスを開発することに活路を見い出すべきだろう。他所に無い商品やサービスを開発した者は、価格決定権を握ることができるからだ。
近藤さんは、西暦2000年に合わせて2,000円札が発行される前年、2,000円札と見間違えるようなケーキを作り発売する。2,000円関連商品は幾つも開発されたなかで、近藤さんのケーキはまたもやヒット商品となった。遊び心と他所にない独創性から生まれた存在感が人々を刺激したのだ。
まるで2000円札
2000年(平成12年)7月19日、2000円札が発行されました。1958年に1万円札が発行されて以来、新しい金額のお札が発行されたのは42年ぶりのことです。西暦2000年という節目と、九州・沖縄サミットが開催されることを記念して発行された紙幣ということもあり、早くから人々の関心を集めていました。
私も、「2000円札の発行に合わせてオリジナル商品を作ろう」と考え、作ったのが「2千円お札ケーキ」です。2000円札が発行される数ヶ月前に新札のデザインを大蔵省の友人から頂き参考にしました。お札ですから、本物そっくりには作れませんし似せただけのものでは付加価値は生まれませから、どれだけの遊び心を入れて人々の心を刺激するかがケーキクリエイターとしての腕の見せ所でした。
まず、お札の表面は首里門が描かれていますから、首里城の絵を描きました。ケーキの「お札」ですから「さつま芋」を使い、お札の裏には「紫式部」が描かれていましたから、紫の雲を「紫芋」で表現しました。パッケージも工夫しました。ジュラルミンのアタッシュケースのような銀色の紙を使ったパッケージです。あくまでも遊び心からの発想ですが、ケーキとパッケージの素材やデザインは、細部にまでこだわり、一見すると本当のお札に見えるレベルに仕上げましたから、パッケージの中身はまるで2000円がつまった札束です。
「2000円お札ケーキ」は、新札が発行される前年末に発売したところマスコミさんが大きく取り上げてくださり、「景氣快福ケーキ」や「黒字体質ケーキ」同様、大変なヒットとなりました。

アイディアの種は日常に転がっている
アイディアの種を見つけるのは、観察力です。日頃の何気ない出来事や風景の中にヒントが転がっています。時代の空気にも種は漂っていますね。それを見つけて形にするには、常識を超える遊び心と発想だと思います。過去の常識にとらわれてしまうと、面白い発想は生まれません。
アイディアを形にするだけでなく、売れる商品に仕上げるには圧倒的なインパクトというか存在感が必要で、それを創り出すのが大人の本気だと考えます。常識や人の予想を超えるモノを提供することができれば、人の心は動きますよ。
承前啓後 Bis・Navi(ビス・ナビ)Vol.166(2025年4月号)
プロフィール

近藤 昌平(こんどう しょうへい) 氏
異業種交流会「VAV倶楽部」会長、株式会社銀座・トマト会長。
ケーキの会員制宅配を日本で最初に事業化、2万7,000人の会員を組織したり、アイディア商品を次々にヒットさせ、「アイディアマン」「洋菓子業界の革命児」と呼ばれた。
1980(昭和55)年には異業種交流会「VAV(バブ)倶楽部」を設立。以来、45年にわたって出逢いとビジネスチャンスの機会を創出してきた人脈づくりの達人でもある。
【著書】
『お礼とサービス、やり過ぎるくらいがちょうどいい』(PHP)
『人様に可愛がられる人になりなさい』(ダイヤモンド社)
『人脈を作りたかったら、名刺を捨てなさい』(サンマーク出版)
など
●異業種交流会 「VAV倶楽部」 http://www.vavclub.com/
●株式会社銀座・トマト https://ginza-tomato.co.jp/
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