承前啓後 アイディア編(10) ■異業種交流会「VAV倶楽部」会長 近藤昌平さん

刻石流水・・・
受けた恩は石に刻み、与えた情は水に流せという意味である。よい人間関係をつくり、発展させる要諦といえる。時代に名を残した人は多かれ少なかれ、よい人間関係に恵まれた。そうした人たちは、人を見る眼を養い、いかに良い人間関係を築くことができるかを古典などに学んだのであろう。
近藤さんは、人付き合いの達人とも称されるが、修身とともに恩人への感謝を胸に刻み、縁を大切にしてきた。1991年、近藤さんは恩人の写真を事務所の壁に掲げた。あくまでも「恩人を忘れてはいけない」と、自分自身のためのアイディアだったが、人々の共感を呼ぶこととなった。感謝の気持ちは、形や行動にしてこそ相手に伝わることを近藤さんの恩人に対する考え方から学びたい。
お世話になった方々を忘れてはいけない
1991年(平成3)、私の出身地でボンボヌール創業の地でもある愛知県一宮市に大きな工場を建てました。地元への思い入れもありましたし、それまで支援してくださった多くの方々への感謝を伝えたいと考え、完成祝賀会にはたくさんの方々をお招きしました。おかげさまで、当時の一宮市長や中日新聞の加藤巳一郎社長など地元の方々をはじめ昭和天皇の侍従長を長く務めておられた入江相政侍従長など、そうそうたる方々にもご出席いただくことができました。
その夜、1人事務所でこれまでの事を思い起こしていると、実にたくさんの方々の顔が浮かんできました。「工場を建てることができたのは、これまで応援してくださった皆さんのおかげ。その恩人への感謝の気持ちを忘れてはいけない」と思い、皆さんの写真を壁に飾ることを思いつきました。飾れるスペースに限りがありますから、四七名に絞りました。皆さんからお写真を譲っていただき、それを4つ切の大きさに引き伸ばし、額に入れて壁に飾ったのです。前出の入江相政侍従長や三笠宮殿下、高松宮殿下といった皇室の方々、企業経営者、教育者など様々な分野の方の顔が揃いました。もちろん、両親と急逝した姉、妹の写真もありました。写真を見ていると、お世話になった思い出がよみがえり、改めて感謝の念が沸き上がります。私は毎日、皆さんの写真に手を合わせ感謝の気持ちを新たにし経営にのぞみました。

人を大事にする人は人から大事にされます
驚いたことに、このことが日経新聞の「人間発見」で連載されました。恩人を大事にしたいと思ってしたことですが、たまたまこの話を聞きつけた知り合いの新聞記者の野村さんが興味を持たれて記事にされたのです。自分のために写真を飾ったものですが、反響が大きかったのを覚えています。
私たちは他人様の助けなしには生きていけません。人生やビジネスの豊かさは、他人を利用して自分の利益ばかりを追求するのではなく、頂いたご縁やご恩を大事にすることから生まれると、私自身の体験から感じています。また、感謝の気持ちは言葉や形、行動にすることで相手に伝わりますから、お礼の手紙や贈り物などで気持ちを伝えることをおススメします。
人とのご縁を大事にする人は、必ず人からも大事にされます。そういう人は、デジタル社会のこれからも豊かに生きていくことができますよ。
承前啓後 Bis・Navi(ビス・ナビ)Vol.167(2025年5月号)
プロフィール

近藤 昌平(こんどう しょうへい) 氏
異業種交流会「VAV倶楽部」会長、株式会社銀座・トマト会長。
ケーキの会員制宅配を日本で最初に事業化、2万7,000人の会員を組織したり、アイディア商品を次々にヒットさせ、「アイディアマン」「洋菓子業界の革命児」と呼ばれた。
1980(昭和55)年には異業種交流会「VAV(バブ)倶楽部」を設立。以来、45年にわたって出逢いとビジネスチャンスの機会を創出してきた人脈づくりの達人でもある。
【著書】
『お礼とサービス、やり過ぎるくらいがちょうどいい』(PHP)
『人様に可愛がられる人になりなさい』(ダイヤモンド社)
『人脈を作りたかったら、名刺を捨てなさい』(サンマーク出版)
など
●異業種交流会 「VAV倶楽部」 http://www.vavclub.com/
●株式会社銀座・トマト https://ginza-tomato.co.jp/
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