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『絶滅の人類史 なぜ「私たち」が生き延びたのか』

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Books ■株式会社梓書院 取締役  前田 司

「チンパンジーは人類の祖先である」。「進化によって現在の人類は最も脳が大きくなった」。いずれも間違われやすい誤解である。チンパンジーは現生人類に最も近縁な種ではあるが、チンパンジーから人類が進化したのではない。約700万年前にチンパンジーと人類の共通祖先から分岐し、それぞれ進化して今に至るのである。

さらに、人類は進化とともに確かに脳は大きくなってきたが、実は現生人類よりも絶滅したネアンデルタール人のほうが脳は大きかったし、身体も大きかった。それなのになぜ、ネアンデルタール人ではなく、我々ホモ・サピエンスが生き残ったのであろうか。
我々ホモ・サピエンスが生き残ったことにいくらかの理由はあるが、それでもやはり「たまたま」生き残ったという偶然性は否定できない。そして「たまたま」生き残った我々がいることによって、「たまたま」絶滅した他の人類がいたのだ。

人類は「仕方なく」進化してきた歴史を持つ。肉食獣に襲われる危険のある草原より、森林のほうが安全で食料も安定していた。しかし、より力の弱い人類の祖先は森を追われ、仕方なく疎林にやってきた。生き残るために食料を分け合い、なんでも食べるようになり、肉食獣に襲われようとも、それ以上に多産であれば種として生き残ることができるため、「8勝7敗」の戦略で生き残ってきた。

なんともいじらしい生存戦略である。持たざる者だからこそ、生き残ってきた人類の進化の歴史を辿ることは、我々人類にとってなにが大切なのかという、人生哲学を教えてくれるようである。

Books  Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.117(2021年3月号)

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プロフィール

前田 司(まえだ つかさ) 
株式会社梓書院 取締役

福岡市出身、福岡大学人文学部卒。2009年福岡の出版社・株式会社梓書院入社、取締役部長を務める。漫画原作家。踊る編集者としてラテンダンス(カシーノ)の普及にも勤しむ。

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