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大国と陸続きだった朝鮮、海を隔てていた日本

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Books ■株式会社梓書院 取締役  前田 司

『世界史のなかの蒙古襲来 モンゴルから見た高麗と日本』
宮脇淳子 著/扶桑社 1400円+税

我々日本人は、同じモンゴロイドということもあってか、モンゴルには親しみや憧れすら持っているように思える。しかし、我々は実際にどれほどモンゴルのことを知っているだろうか。本書は元軍とは世界史のなかでどのような存在だったのかを解き明かし、蒙古襲来とはなんだったのかを見つめなおす一冊である。

本書では、日本人が誤解しているモンゴル像をほぐしていくことから始まり、モンゴル帝国とはどのように支配を広げてきたのか、そしてなぜ日本に攻め入ってきたのか、さらに蒙古襲来を担っていたのは誰なのかを明らかにしていく。そんななか、痛切に感じるのは「大国と陸続きであること」の難しさである。本書は、主に朝鮮半島とモンゴルとの関係を手掛かりに、蒙古襲来、元軍の実態を解き明かしていく。そのなかで見えてくるのは、親モンゴル派、反モンゴル派で揺れ、対立を繰り返してきた朝鮮の姿だ。

必要以上に朝鮮批判が散見するのはいただけないところもあるが、強大な軍事力や国力を前に、生き残りをかけて必死にあがいてきた朝鮮半島の歴史を感じることもできるのではないだろうか。

昨今のウクライナ情勢と重なる部分もあるが、国はいかに争い、いかに生き残りをかけていくのか、という戦争の原理のようなものを伺い知ることができるようにも思う。

Books  Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.130(2022年4月号)

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プロフィール

前田 司(まえだ つかさ) 
株式会社梓書院 取締役

福岡市出身、福岡大学人文学部卒。2009年福岡の出版社・株式会社梓書院入社、取締役部長を務める。漫画原作家。踊る編集者としてラテンダンス(カシーノ)の普及にも勤しむ。

九州・福岡の老舗出版(書籍・マンガ・電子書籍)企業:梓書院
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