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『てん』

絵本に学ぶ仕事術

本に学ぶ仕事術  ■有限会社ウーヴル 代表取締役 三宅 未穂子

この絵本は、人が育つプロセスにおいて、とても参考にすべき点が多く、私も人材育成に関わる者として自分を振り返るバイブルのように思っている。振り返ればこのBisNavi創刊第3号から始めたエッセイの2冊目で紹介している程に、いつも手元に置いている絵本だ。

物語は、お絵描きの時間が嫌いな生徒ワシテが、ついには他者に影響できるまでに成長する、人が育つプロセスが描かれている。表紙の大きなオレンジ色の丸が、お話の緊張感、躍動感、希望を感じるのも絵の魅力だ。

最近SNSでよく流れてくるマーケティングの広告に見られる「彼女はたった一つの教えを守っただけで成功した」的なコツがこの絵本にある。
絵本の中の先生は、どうやったかというと、変化の機会を作っただけ。たったそれだけ。小さなことをきっかけにして人は変われるのだ。その入り口は「認めること」。先生は、決して大げさに褒めたりもせず、言葉にしてせかしたり促したりすることもなく、ワシテの能力を認め、他者にも認知できる機会を作った。ワシテの創作意欲と探求心を高めた。ワシテ自身が自らの行動を選択できる環境を与える。

具体的にいうと、ワシテが「お絵描きは嫌い!」という感情を、画用紙にぶつけた「ちいさなてん」を額縁に入れて飾っただけ。
そして、「もっといいてんを創れる」という気持ちを尊重しただけ。てんを創る研究を自ら行えるように、やりたい気持ちを環境で支援しただけだ。実際は、こんな簡単なことが難しい。

「主体性ないんだよなぁ~言われたことしかできない」
いえいえ。それは、工夫をしませんと言ってることにならない?足りない出来ないことに目を向けていない? と、指はこちら側に向けることもできる。どうやったら、自分ゴトに考えて動くのか、われわれの組織は、人が輝けるような機会はあるか、その環境はできているか、実践できるしくみはあるかなど、「われわれは?」と、考えてみたほうがいい。そして、管理職の「社員を動かす」という意識を捨てて、「社員と共に考え実践する」に切り替えた方がいい。

自走する教育の仕組みにこそ、次のリーダーを作ることができるというメッセージ『てん』。真ん中に絵本を置いて、チームでディスカッションしてみてはいかが?

『てん』

著:ピーター・レイノルズ 
翻訳: 谷川 俊太郎 
出版社:あすなろ書房
発行:2004年


「絵本に学ぶ仕事術®」   Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.169(2025年7月号)

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プロフィール

三宅 未穂子(みやけ みほこ) 
有限会社ウーヴル 代表取締役
2005年2月25日創立、翌06年3月15日同社設立。企業向け研修やキラキラ社員のプログラム(社員によるいい仕事のための自社内研修プログラム)業務改善アドバイスを手掛けている。

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