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『ゆうやけにとけていく』

絵本に学ぶ仕事術

絵本に学ぶ仕事術  ■有限会社ウーヴル 代表取締役 三宅 未穂子

昼と夜の寒暖差が大きくなり、夕陽が美しい季節になった。
地球が自転して、太陽から日本が遠くなっていくとき、空は赤やマゼンタ、オレンジ、黄色のゆうやけ色に染まる世界がやってくる。
その色を映したビルの窓が黄金色に輝き、東の空に広がる雲さえも西の色を纏い始めるその鮮やかな時を経て、劇場の舞台と客席を分かつ緞帳の如く、天からゆっくりと水平に、一日の幕が下りてくる。今日を楽しんだことを感謝する幕引きの時間の到来だ。

天から下りてきた紫から濃い紺色のベールに空が染まる一瞬前。
今日の疲れも、喜びも、悲しみも、成功も、失敗も、あらゆる感情も出来事も、全部をとろとろに溶かすひとすじの光が現れる。その時間はマジックアワー。
光に溶けた今日という日は、小さな粒になって夜空にきらめく星になる。明日への希望の光を灯して夢の世界に誘う。
もしも、これがゆうやけの意味だったら‥。

今日ご紹介する絵本『ゆうやけにとけていく』は、大分県出身の二人組絵本作家ユニット「ザ・キャビンカンパニー」が制作した作品。現在彼らは、大分県由布市の廃校をアトリエにして、絵本・立体造形・アニメーションなど様々な作品を発表している。(HPプロフィールより)
表紙のゆうやけは、マゼンタとオレンジの蛍光色の強烈な色だ。
ページをめくると、血のように赤いゆうやけや染まる雲の色、ピンクの空に、黄金色に輝く閃光など、きっと誰もが観たであろうゆうやけの時間の空が、色鮮やかに現れる。
太陽は、常にページの真ん中に存在していて、地平線の向こうに沈んでいくまでの時間を読むことができる。

どのシーンの中にも、忘れてた記憶を呼び起こすような懐かしい光と影の時間がある。人の暮らしの音がする。声がする。温度を感じる。太陽信仰のDNAを持つ私たちの感謝の時間。思わず手を合わせたくなる。
実際のゆうやけには敵わないけれど、何度見てもその絵の美しさに、今日一日の喜びも悲しみも全部をゆうやけに溶かして自分をほめたくなる絵本。フィードバックは、反省ばかりじゃない。感謝と自分の強みに気づくためにある。明日のためにあるはず。そのために、今夜は、ゆっくりゆっくり、おやすみなさい。

『ゆうやけにとけていく』
 作: ザ・キャビンカンパニー
 出版社: 小学館

「絵本に学ぶ仕事術®」   Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.160(2024年10月号)

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プロフィール

三宅 未穂子(みやけ みほこ) 
有限会社ウーヴル 代表取締役
2005年2月25日創立、翌06年3月15日同社設立。企業向け研修やキラキラ社員のプログラム(社員によるいい仕事のための自社内研修プログラム)業務改善アドバイスを手掛けている。

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画像は2024年8月号です

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