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DX化、補助金申請、経理の人材紹介を手がける新会社を設立し中小企業を支援

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Trend&News ■アネーラ税理士法人 代表社員・藤本周二氏

税理士、公認会計士、不動産鑑定士、社会保険労務士といった多数の資格者など二二〇名を擁する専門家集団・アネーラ税理士法人(福岡市中央区、藤本周二代表社員)は九月一日、新会社を設立した。クライアントの要望に応えるために取り組むものだが、提供するサービスは企業のDX化や補助金申請、経理の人材紹介といった総務・経理部門の支援である。また同日、福岡、佐賀、長崎に次ぐ九州四県目となる熊本事務所も開設、東京、横浜での展開と併せて九州での基盤と実績を築き上げている。

アネーラ税理士法人代表社員の藤本周二氏

総務・経理部門支援の新会社を設立

―9月1日、新会社「アネーラ株式会社」を設立されました。まずは、設立の目的と事業について聞かせてください。
藤本 
今回の新会社は、近年高まっているクライアントからのご要望に応えることを目的として設立したもので、総務・経理部門を対象にサービスを提供します。事業の柱は、AI・DXコンサルティング、補助金・助成金支援、経理・総務専門の人材紹介の三つです。本社は、アネーラ税理士法人の中に置き、代表は私が務めます。
まず、AI・DXコンサルティングですが、ご承知の通り日本、特に中小企業のDX化は非常に遅れています。企業経営者は様々な悩みを抱えていますが、DXで解決できることが結構あります。例えば、従業員の多い会社で、Aさんが「私の有給休暇は何日ありますか?」と総務に問い合わせます。すると人事担当者が調べて回答する。これだけ調べるだけでもけっこうな時間を要しています。
AIに就業規則や規定を読み込ませて、全従業員の入社日などの必要な情報を読み込ませれば、Aさんは自分で有給休暇が何日残っているかを即座に知ることができるようになります。人事担当者も時間を取られない。アプリ化すれば、パソコンでもスマホやタブレットなどさまざまな端末で情報を共有することができます。
小売り業など、販売の現場でおきる値引きに関する煩雑さもDXで解消できます。小売り業では、その日の状況に合わせて価格を値引くことがよくあります。チェーン店で、店舗から値引きの申請を本部に上げて決済を仰ぐ仕組みにしている場合、店舗が申請書をFAXやメールで送ることが多い。しかし、本部も忙しく決済が遅れがちになり、そのうち、支店で決済するようになる。そうして支店が好き勝手な動きをしても本部で把握できなくなると、トラブルや不正が起きやすくなります。
そこで、値引き申請書というアプリを作れば、店舗、本店が同時に見ることが出来る。スマホでもパソコンでも見ることができ、即座に判断、決済もできるようになります。
このようにDXで解決できる問題はかなりありますから、お役に立てるものと考えています。

―DX化にはアプリ化も含め、継続した投資が必要になりますね。
藤本
大企業は巨費を投じてシステムを作っていますが、中小企業ではそうはいきません。 しかし、既存のシステムをカスタマイズして簡略化することで、かなりコストを抑えながらも十分に対応できる時代になりました。情報を提供していただければ、DXを活用した解決策をご提案することができると考えます。

―これらのサービスはアネーラさんの顧客に対して提供するものですか。
藤本 
制限は特に設けていませんが、まずはクライアントへの提案から始めます。役に立つサービスですから、広がる可能性が大きいと期待しています。

企業の補助金、助成金申請をサポート

―2つ目の補助金申請支援もかなり需要がありそうです。
藤本
大企業は、社内に補助金を活用する部署を持っているところもありますから、新しい情報だけでなく、補助金や助成金を通すためのノウハウも積み上げています。それに、補助金や助成金は情報が公開されて申請までの期間が短いものが多い。そのため、情報収集力でも後れを取っている中小企業は、申請のチャンスを生かせないのが現実です。
補助金や助成金は、まず、情報を持っているかどうかが非常に重要です。私たちのクライアントでも補助金に対する当事務所の情報不足で申請の機会を逃してしまうこともありました。ですから、困っているたくさんの中小企業を誰かが支援する必要があると感じていました。

新会社では、補助金、助成金申請のサポートを行います。経験を積めばうちにもノウハウが積み上がります。だから、チャレンジしていきたい。新会社では、補助金、助成金について高い知識と情報収集力を備えた専門スタッフを育て、活用できる補助金の情報を税理士法人を通してクライアントに伝え、要望があれば情報提供にとどまらず、申請までもお手伝いします。
まずは、人事労務系の助成金から手がけます。AIと組み合わせることも検討しています。成功体験を読み込ませていけば、精度が上がるでしょう。申請書類も読み込ませておけば、基本的なところはAIがある程度作ってくれますから。

―3つ目の経理部門の人材紹介は、どういう経緯から始めたのですか。
藤本
クライアントに経理部門の人材を紹介することは、いままでも無償でやってきました。例えば、A社の経理担当者が辞めることになったとします。同じ時期に、こちらもクライアントのB社の経理スタッフが辞めるとします。辞める事情にもよりますが、A社を辞めた人がB社で採用されるケースもあるわけです。当然、逆のケースも考えられます。私共は、両社の社風や求める人材に加えて辞める経理スタッフのことも知っています。
企業が経理担当者を採用する場合、やはり、信用のおける人を採用したいと思うものです。私どもは、仕事柄、そうした要望に応えることができる立場にありますから、新会社の事業として免許を取得して取り組むことにしました。新会社には、税理士法人から2人が移籍しています。1人は、これまで税理士法人の総務関係を担当していた人材です。AIも勉強しています。

―アネーラさんは、2000社近くの顧問先がありますし、提携グループまで入れるとかなりの社数になります。これだけ顧客数が多いからできるサービスでもありますね。
藤本
まずは、グループ内のクライアントに対するサービスとして始めたいと考えています。ただ、DX化や補助金、助成金の申請サポートについては、スタートから広く対応していきたいと考えていますので、ご要望があれば是非、お声掛けください。

九州5拠点目の熊本事務所開設

―9月1日には、熊本市内に事務所も開設されました。熊本事務所開設の経緯と拠点展開について聞かせてください。
藤本
熊本事務所は熊本市中央区の福田税理士事務所さんと経営統合して、9月1日からアネーラ税理士法人の熊本事務所としてスタートしました。
今回の件は、会計事務所の紹介を手掛ける東京の事業者からお話をいただいたのがきっかけです。

―福田代表は、どのような考えがあって統合を希望されたのですか。
藤本
福田春二先生をはじめスタッフ八人体制の地域に根付いた税理士事務所として、30年余にわたり地元熊本の企業さんとしっかりと信頼関係を築いてこられました。ただ、福田先生自身が数年前に体調を崩されたことがあります。ご自身は、税理士としてまだまだ仕事を続けていきたいという思いをお持ちですが、後継者がいないなか従業員の将来のこともあるので、いい縁があれば引き継いでもらいたいと考えられるようになった。そんな時に丁度、今回の話をいただき、創業者で代表の福田先生とお会いしました。私と年も近く考え方が合う方でしたので、一緒にやっていけると判断しました。
福岡本部からは、熊本出身の税理士が代表として出向き、福田先生と一緒にこれまでの基盤をさらに発展させてくれるものと期待しています。

9月1日にスタートした熊本事務所(熊本市中央区大江4丁目)。
九州内での事務所は4県、5拠点目。

―熊本の開設に先駆けて、今年3月に長崎事務所を出されましたね。
藤本
長崎事務所は独自に開設しました。長崎駅から徒歩五、6分の立地で、長崎駅と「長崎スタジアムシティ」の中間に位置します。目の前には路面電車の電停もあり交通の便も非常にいい場所です。長崎事務所はゼロからの立ち上げですから、福岡本部から1人が長崎に入り、現地で1人を採用して2人体制でスタートしました。開設から半年たって、依頼も増えています。
長崎は古くから貿易などで栄えた都市ですから、老舗企業も多い。変化の激しい時代の老舗の経営もサポートできるよう努めてまいりたいと考えています。長崎での広がりも楽しみです。

―今回の熊本事務所の開設で、九州の拠点は福岡、北九州、佐賀、長崎、熊本の5ケ所となりました。今後、九州内での開設の予定は。
藤本
九州の会計事務所として東京の大手事務所との競争を生き抜くには、関東と九州内での拠点充実が必要だと考えています。そのため、関東には東京と横浜に拠点を展開しています。九州内では各県に1つは事務所を置く方針ですから、来年以降、他の県での事務所開設を進めていきます。

JR長崎駅近くの好立地に構えた長崎事務所が入居するオフィスビル。

東京と福岡ではスタイルが違う

―東京からの会計事務所の進出は増えているのですか。
藤本
東京からの進出は確かに増えています。福岡、九州に進出した会計事務所がどのような状況なのかについて個別の詳細は把握していませんが、東京から大阪に進出して上手く行っている事務所でも、福岡での展開はその多くが苦戦しているようです。同じような営業展開をして大坂ではうまくいって、福岡ではうまくいっていないということのようです。
大阪は東京に近いビジネスのやり方ですが、福岡、九州はビジネスのやり方が違いますから、そこに戸惑っているのでしょう。

―福岡、九州では今も人脈が成否に大きく影響していますね。
藤本
いわゆる「人脈ビジネス」とも言われるように、人とのつながりを重視する傾向が強いのは間違いありません。福岡では、食事をするなど一緒に同じ時間を過ごすことで人脈づくりにつながり、仕事にもつながるという考え方が強いし、実際にそうやって仕事になっています。
そこに、東京の考え方やスタイルを持ち込んでもなかなか受け入れられないということではないでしょうか。東京から進出してくる大手であっても、支店長は定期的に入れ替わるから、人脈ビジネスができない。一方、大阪はまだ東京のビジネスに近いですから、東京から大阪に進出する際はわりとスムーズにできるようです。

―見方を変えると、アネーラさんが福岡から東京に出て展開する際には、九州のスタイルが通じないということになりますね。
藤本
九州から進出した私共が、東京や横浜の市場を福岡、九州のスタイルで開拓するのは難しいですね。

―銀行からの紹介もあるのでは。
藤本
東京での会計事務所の位置づけは、福岡など地方都市とは異なります。東京にはメガバンクや大手総合商社、上場企業などの本社が多数集まっています。その中で、会計事務所や税理士法人というのは、こうしたメガバンクや商社の下に位置付けられています。その中でも、ある程度上に位置しているのが監査法人と監査法人系の税理士法人です。そして、その下に、有名な大手会計事務所や税理士法人があるという構図です。
私共は、東京での歴史が浅く人脈も少ないので、普通にやっていても仕事は簡単には来ませんし資格者も集まりません。会計事務所に入りたいと考えている人が1000人いたら、上の方で総ざらえされるような世界です。
そのような状況ですから、東京ではなかなかいい人材も採用できません。そこで、現在はクライアントを紹介する事業者を活用して新規顧客を広げています。そうやって、事業者から紹介された企業とお付き合いする中で、さらにクライアントとなる企業をご紹介をいただく機会が増えてきました。
人材獲得対策としては、事務所を中央区日本橋から千代田区大手町に移しました。そのおかげで、人材の採用が上手くいくようになりました。

基準はブランドと立地

―それほど、立地が重視されるのですか。
藤本
東京に住んでいる人は、遠方から通勤していますから、福岡のように夜遅くまで酒を飲むということが非常に少ない。ですから、宴会も少なく、あっても1次会で大半が帰る。そうなると、福岡や地方のようにじっくりと、親しくなるということができません。「人脈ビジネス」というスタイルの営業が成り立たないわけです。
東京で重視されるのは、ブランドや名刺です。名刺に大手商社の名前が入る。または、名刺に記載されている住所が丸の内や大手町など、大手企業が本社を置くエリアであることが取引をする、あるいは、仕事をするための判断基準になっていると感じています。ですから、事務所もそれなりの場所にないと相手にしてもらえません。
私共も大手町に東京事務所を移した結果、おかげさまで人も入るようになりましたし、仕事も増えています。

福岡本部が入居する福岡大名ガーデンシティ。

―これから東京進出を考えている経営者にとっても参考になるお話です。最後に、経営環境が厳しさを増すなかで、中小企業が成長するために社長に求められるものは何だと思われますか。
藤本
今の時代は、基本的に不況だと思います。そのような中で、成長を続け突き抜ける企業も出てきました。中間層がより力のある企業に吸収されたために、ごく一部の突出した超優良企業に富が集中し、そうでない大多数を占める企業は苦しい経営を余儀なくされているという状態になっています。
その中で、中小企業が成長するためには、当たり前の話かもしれませんが、人が働いている時に働き、人が遊んでいるときに働き、人が寝ている時に働く。これが出来れば、良いところまで行けるかもしれません。

人の3倍働く

―特別な能力がなくても人の3倍働けば、なんとかなるともいわれますね。
藤本
人が働いているときに働き、遊んでいる時に遊び、寝ている時に寝るようでは成功はおぼつかない思いますし、そうやって成功した人を私は知りません。本当にトップを走っている人は、寝ている間も夢の中で働くぐらい働いて、今の成功を掴んでいる人ばかりです。
なかなか上手く行かないと思われている経営者はまず、3倍働くという心構えをすることでしょうね。
人よりも3倍働けば、当然、きつくなります。そうなると、効率を上げるために工夫を凝らすようになるでしょうし、それまでとは異なる、新しい考え方や手法を考え出すことができるかもしれません。

―結局、その精神論が大事だと思います。最近は、ハウツーばかりを追いかける傾向が強くなっているように感じます。
藤本
人間がそれぞれ違うように、ハウツーも企業によって異なります。だから、他人のハウツーを見て、そのまま真似しても上手くいきません。そのなかから、自分に合うものを探すには3倍の努力が必要だと思います。
例えば、成功者と言われる人の本を読むのは素晴らしいことです。しかし、それを自分なりに消化して自社の経営に生かしていくためには、3倍研究しなければ上手く行きません。成功者と言われる人たちは、そういうことを当たり前にやってきた人たちです。
ですから、今の経営やビジネスで行き詰っている人は、今の3倍働いてみてはいかがでしょうか。動けば、何かが見えてくると思います。

―ありがとうございました。

法 人 概 要

名   称  アネーラ税理士法人
住   所  福岡市中央区大名2-6-50福岡大名ガーデンシティ10F
拠   点  福岡事務所、天神事務所、東京事務所、横浜事務所、佐賀事務所、北九州ひびきの
       事務所、長崎事務所、熊本事務所
グループ会社 社会保険労務士法人アドバンス、九州M&Aサポート株式会社、九州有限責任監査法 
       人、アネーラ株式会社、エスペランサコンサルティング株式会社、アネーラ株式会
       社
URL     https://anera.or.jp/

Trend&News  Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.171(2025年9月号)

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