経営者と税理士と節税 ■井上税理士事務所 所長 井上 伸一
11月の後半になると、多くの方から「ふるさと納税、どれくらい出来ますか」という質問をいただきます。
ご存じのとおり、ふるさと納税とは、一定の限度額がありますが、各自治体に寄付をして確定申告をすることで、所得控除と住民税の控除により、寄付金額相当額の税額が軽減されるというものです。合わせて、各自治体からの返礼品がありますので、その返礼品がそのまま得になるということになります。限度額の概算は、ふるさと納税のサイトで計算が可能ですので、お試しください。
所得金額が多ければ多いほど、限度額が大きくなります。高額所得者ほど、お得感が増すことから、ふるさと納税制度は、「金持ちのカタログショッピング」と揶揄されています。制度そのものに各方面から賛否がありますが、お得な制度ですので、利用できるものは積極的に活用することをお勧めします。ある意味、唯一の「所得税の節税手段」かもしれません。
昨年、アーリーリタイアによる株式の売却により多額の譲渡所得が発生した方がいらっしゃいました。その方のふるさと納税の限度額は約600万円でした。せっかくの機会ということで、限度額一杯ではありませんが、それ相当額のふるさと納税を行れました。ありがたいことに、私にも、おこぼれをいただきました。返礼品の届け先は、寄付者本人以外でも可能なのです。
多額のふるさと納税には、注意が必要です。どういうことかというと、受け取る返礼品の取り扱いは一時所得になり、評価額によっては申告が必要となります。一時所得は、「(一年間の返礼品の金額-50万円)÷2」で計算されます。つまり、返礼品の金額が50万円を超えると一時所得が生じることになりますので、返礼率を寄付額の3割とすれば、年間に約167万円以上のふるさと納税をした場合に、一時所得が発生することになるかもしれません。 一時所得の計算の際には、一時所得に該当する全ての所得を考慮することになります。
うっかり申告漏れがないように気を付けたいですね。指摘された方がいらっしゃったら教えてください。
経営者と税理士と節税 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.161(2024年11月号)
プロフィール
井上 伸一(いのうえ しんいち) 【税理士】
井上税理士事務所 所長
昭和46年、福岡県生まれ。長崎青雲高等学校、立命館大学法学部卒業。
平成11年、税理士登録。平成23年、井上税理士事務所開業。
中小企業の経営指導のほか、企業経営者・医師等に向けて各種セミナーを行う。
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