■株式会社ワイコム・パブリッシングシステムズ社長 田上恭由氏
皆さん、こんにちは。社員20万人のGoogle社に6人で戦っている(笑)、株式会社ワイコム・パブリッシングシステムズの代表の田上です。ウェブ集客の際に見落としがちな重要なポイント、「商標」について、2回シリーズでお話しします。
商標の重要性について、私が経験したことをお伝えします。
20年以上前のことです。ある個人商店のお客様の依頼でホームページを作成、公開したところ、衝撃的な出来事が起こりました。なんと、同じ店名を商標登録している、北陸地方のある会社から、商標侵害を訴える内容証明郵便が届いたのです。
専門家である弁理士さんに相談したところ、「商標権侵害にあたり、裁判しても勝つ見込みはゼロ」。結果、60年も続いた老舗の店名を変更せざるを得なくなってしまいました。
看板、印刷物、電話帳、税務署への届出など、すべてを変更する必要があり、相当な労力と費用がかかりました。
このケースで特に注目すべきは、お店の方は悪意がなかったということです。先代の代から60年間使っていた名前だったのですから、他社の商標を侵害しているなんて夢にも思わなかったでしょう。しかし、法的には完全に商標権侵害となってしまったのです。
これは、ウェブ販促の大きなリスクの一つです。検索で、商標侵害している企業を簡単に見つけられるようになりました。
実は、当社も同じような経験をしました。「YCOM」をロゴにして使用していたところ、大手通信機器メーカーの「アイコム」社の法務担当から、内容証明郵便が届いたのです。幸い、弁理士さんの助けを借りて解決できましましたが、これも非常に貴重な教訓となりました。
ここで強調しておきたいのは、商標は登録した企業が圧倒的に有利だということです。たとえ小さな会社でも、大手企業に対抗できる強力な武器となります。逆に言えば、自社の商標を守るためにも、登録は非常に重要なのです。
商標登録をきちんと行うことは、余分な費用を支払うリスクから避けられるだけでなく、ビジネスの安定度を高め、リスクを大幅に減らします。社名変更、看板やブランド看板の掛け替え、各種帳票類(領収書や請求書)の変更、お客様へのご案内、銀行や諸官庁への届け出など、大量の作業が発生するのを避けられるのです。
次回は、具体的にどのような対策を取るべきか、そして商標登録の具体的なメリットについてお話しします。皆さんのビジネスが、ホームページを通じて大きく飛躍することを願っています。商標のリスクを避け、安全に成長していきましょう!

IT時代に乗り遅れるな Bis・Navi(ビス・ナビ)Vol.159(2024年9月号)
プロフィール

田上 恭由(たがみ やすゆき)
㈱ワイコム・パブリッシングシステムズ 代表取締役
「ふくおか経済」記者・営業、中古車情報誌編集者、システム開発者を経て、平成9年個人創業、翌年法人成りして現職に。上級ウェブ解析士、採用定着士。小規模事業者のウェブサイト構築実績は七百件以上。顧客獲得や採用の課題を解決する手法に定評がある。IT導入補助支援事業者、認定支援機関として、補助金獲得実績も多数。
「Bis・Navi」定期購読のご案内
「Bis・Navi(ビジネス・ナビゲーター)」は、書店では販売しておりません。確実に皆様にお読みいただくために毎月、弊社より直接郵送にて情報誌を送らせていただきます。この機会に是非、お読みくださいますようご案内申し上げます。
<定期購読料>
5,500円(消費税込み)
※1年分12冊をお送りします
※送料は上記料金に含みます
定期購読に関する詳細はこちらをお読みください。⇒「購読のご案内」

コメント