絵本に学ぶ仕事術 ■有限会社ウーヴル 代表取締役 三宅 未穂子
私たちが生まれたとき神様はその子にふさわしい力を授ける。天使が運んでくれるのだ。
絵本の中で、神様は、生まれたばかりの五人のあかちゃんに、贈り物をした。「よくわらう」の贈り物をもらったあかちゃんは、「よくわらうあかるいこども」に。「ちからもち」の贈り物のあかちゃんは「ちからもちのげんきなこども」に。「やさしい」をもらったあかちゃんは「こころのやさしいこども」に育っている(本文から)
たったこれだけのお話なのに、今なお愛される絵本。それはこの絵本の中に母親の願いが込められているからだ。
神様は全ての人に贈り物を授けている。その贈り物は他の人と比べられない、その子にはその子だけの特別な贈り物だ。そして、神様は今も見守っていて、頑張った分だけ贈り物をくださる。これは、巻末の作者の言葉から読み取ることができる。
たっぷりの愛を以て描かれたこの絵本から、今回は「働く」を考えてみたい。
組織の中で起こる「困った」は、ほぼ人の問題による。この時、名指しで解決することは簡単だが、それでは根本的な問題解決にはならない。類似のケースを再発させないためにも一つの事例として仕組みを考え備えていく必要がある。
こんな時この絵本から「今の組織環境は神様の贈り物を生かすことができるのか?」を問うことができる。
また、「人が育つ間に見えなくなってしまった強みより、今目立つ弱みにフォーカスしていないか?」と問うこともできる。
ドラッカー博士は、「強みは、仕事に就くはるか前に形成されている。与件”のようなもの『明日を支配するもの』P194」と言っている。まさに神様からの贈り物だ。さらに、「強みは、弱みを意味のないものにする『経営者の条件』p102」。そして、「強みは、成果を上げるもの『経営者の条件』p106」であり、「強みを生かすことは仕事の仕方についても重要である『経営者の条件』P132 」と記されている。
眠ったままの贈り物(強み)であれば、それが引き出せる環境をつくりたい。これからの時代、働く人を人財と捉え、資産価値を上げるための教育は必須であり、企業は社会の役に立つ仕事をするだけでなく、人を育てるという役割を担うのだから。
『かみさまからのおくりもの』
作 : ひぐちみちこ
出版社: こぐま社
発行 :1984年
「絵本に学ぶ仕事術®」 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.157(2024年7月号)
プロフィール
三宅 未穂子(みやけ みほこ)
有限会社ウーヴル 代表取締役
2005年2月25日創立、翌06年3月15日同社設立。企業向け研修やキラキラ社員のプログラム(社員によるいい仕事のための自社内研修プログラム)業務改善アドバイスを手掛けている。
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