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病院・診療所の施設基準

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経営者と税理士と節税   ■井上税理士事務所 所長  井上 伸一

皆さんは病院や診療所に行かれた際に領収書はご覧になりますでしょうか。病院と診療所の違いは別の機会にお話しするとして、確定申告で医療費控除を行うのに備えて、医療費の領収書は保管するかもしれませんが、中身までは、しっかりと確認しないかもしれませんね。

近頃は、領収書と一緒に治療内容が記載されており、項目ごとの点数が載っています。1点は10円で計算されます。もし、合計が300点であれば、診療報酬は3,000円であり、自己負担額は3割であれば、窓口での支払は900円となります。
風邪を理由に病院や診療所に行っても支払う金額が異なる場合があります。それは検査内容や施設基準が異なるからです。今回は施設基準についてお話しします。

施設基準とは、厚生労働大臣が定めた医療機関の機能や設備、診療体制、安全面やサービス面等の基準で、一部の保険診療報酬の算定要件として定められています。施設基準は多数の診療報酬に設定されており、それぞれの医療機関が自身がどの基準を満たしているか等を判断して、地域の厚生局に届けることになります。
医療機関は施設基準を届け出て、基準を満たすことにより、診療報酬の増加につながります。診療報酬の増加ということは、診療を受ける患者の負担が増えるということです。それを踏まえて、医療費の領収書を見てみてください。

多くの医療機関は、診療報酬改定のタイミングで診療機能を強化する(医業収入の増加)目的で、新たな施設基準の取得を検討します。しかし、新たな施設基準の取得は、患者の負担が増加することに直結するのです。実際、私のクライアントである内科の診療所の先生からも、新たな施設基準を取得して領収書明細に記載して間もなく、患者からネチネチと質問されたという話を聞きました。これがきっかけで、新たな施設基準の取得を躊躇しているとのことでした。

患者からすれば、よくわからないうちに負担だけが増えてしまうように感じるのでしょう。しかし、新たな施設基準を医療機関が取得することによって患者も新しい診療や指導を受ける事ができるようになったりもするのです。
治療の流れと自己負担額の増加、それに伴う患者のメリット等を説明することが大事になるのでしょうね。

経営者と税理士と節税  Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.156(2024年6月号)

プロフィール

井上 伸一(いのうえ しんいち) 【税理士】
井上税理士事務所 所長
昭和46年、福岡県生まれ。長崎青雲高等学校、立命館大学法学部卒業。
平成11年、税理士登録。平成23年、井上税理士事務所開業。
中小企業の経営指導のほか、企業経営者・医師等に向けて各種セミナーを行う。

URL http://www.itax.jp/

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