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『こどもかいぎ』

絵本に学ぶ仕事術

絵本に学ぶ仕事術  ■有限会社ウーヴル 代表取締役 三宅 未穂子


円卓を囲んで6人の子どもたちがスーツ姿で座っている。子ども会議が始まるのだ。議長が始まりの挨拶を宣言して、本日の議題を出す。
「おこられたときは どうしたら いいか」なんて素敵な議題だろう。こんな議題でディスカッションしたとしたらどうだろう!

組織でマネジメント開発するときに大切なこと。それは対話。その対話のための話題。つまり、議題であり、良質な問いが重要だ。
絵本の中で意見が飛び交う。「ごめんなさいとあやまる」「ないちゃう」「わらってごまかす」。だって親は怒ると怖いから。どのくらい怖いのかというと、妖怪や口から火を噴く怪獣に見える親に、自分の感情をごまかさなければならないほど怖いのだ。

脱線しながらも続く対話の末、一人の女の子の「怒られたらギュっとする」を全員一致で採択。自分が親からされると嬉しいから、きっと怒られたらギュっとすると親も嬉しいんじゃないかという作戦だ。
「ギュっとする」。短い言葉だけど、子どもたちはすぐにイメージできる。何をどうすればいいのか具体的に描ける。これが合言葉の威力だ。

絵本では、その実践も描かれている。「ちゃんとおかたづけしなさいって いったでしょ」と怒られた。すぐに走っていって母親に「ぎゅっ」。そこで絵本は終わるが、余韻から「おかあさん、ごめんね」と素直な気持ちが聞こえてくるようだ。

こどもの目線は本当に素直。素直さは無敵だ。人は脅威を感じると守りが強くなる。守るだけでなく、認められない悲しさ、怒りなど複雑に絡み合った感情が残る。  
それが何十回、何百回と繰り返されて、こんな時に、愛情を伝えるぎゅ!など当然できるはずがない大人になっていく。人を躾けるとはどんな感情を心に残してあげたらいいのか、考えさせられる。

人が成長するというのは考え方が広がっていくこと、選択肢を増やしていける人になることだ。そのために原則を学ぶ。仕事における原理原則、人としてどうあるべきかの原則。書物や出会う人に素直に向き合えばすべてが学びとなる。学んだことを、この子どもたちのように、「よしやってみよう!」と素直に動くことができること。これが成長なのだろう。長い年月生きていても、いつも誰かに教えられる。

『こどもかいぎ』
 作  : 北村 裕花
 出版社: フレーベル館
 発 行: 2019年

「絵本に学ぶ仕事術®」   Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.156(2024年6月号)

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プロフィール

三宅 未穂子(みやけ みほこ) 
有限会社ウーヴル 代表取締役
2005年2月25日創立、翌06年3月15日同社設立。企業向け研修やキラキラ社員のプログラム(社員によるいい仕事のための自社内研修プログラム)業務改善アドバイスを手掛けている。

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