談話室 五三の桐 ■江上慎也司法書士事務所 所長 江上 慎也
死後事務委任契約とは、委任者(本人)が受任者(委任を受ける第三者)に対して、委任者が亡くなった後の諸手続き、葬儀、埋葬などの死後の事務を生前に依頼する契約をいいます。
自分の親族と疎遠である方や、そのような親族がいないいわゆる「おひとり様」の方は、自分が亡くなった後のいろいろな手続きについて不安を覚えることがあります。このような不安をなくすための方法として結ばれるのが死後事務委任契約です。
似たような制度として遺言がありますが、遺言が効力を発生するのは主に遺産の相続や処分に関する内容など法律に定められた事項に限られています。したがって遺言書に自分が亡くなった後の手続きについて書くことは自由ですが、その内容は法的な拘束力を持たないため、仮に遺言書にそのような内容の記載があったとしても自分の望むような手続きをとってもらえるかは不確定です。
少子高齢化や核家族化、価値観の多様化などの理由により頼るべき家族がいない方が増えています。統計によると平成12年に約303万世帯だった65歳以上の単独世帯は平成27年には約593万世帯となり、15年間で約2倍近く増加しています。
このように自分の死後に死後事務を行ってくれる家族がいない、特に「おひとり様」の場合は、自分の死後に死後事務を誰に行ってもらうのかという問題が生じており、このような問題に対処するために、第三者に対して自分の死後事務を委任するニーズが高まっています。
「談話室 五三の桐」 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.156(2024年6月号)
プロフィール
司法書士江上慎也事務所 所長 江上 慎也(えがみ しんや)

昭和50年、福岡県生まれ。福岡県立明善高等学校、九州大学法学部卒業
平成10年、司法書士試験合格。約20年間福岡市内の司法書士事務所に勤務。
平成30年、司法書士江上慎也事務所開業。
趣味は登山・キャンプ、楽しくお酒を飲むこと、映画鑑賞や博物館めぐりです。
小学校の親父の会等の地域のPTA活動にも参加しています。

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