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昔々ネクラ代表格だった卓球の話

エンタメのチカラ

エンタメのチカラ  ■レジリア 代表 西 高一郎

去年夏、スポーツプレゼンテーションという言葉を紹介しました。この仕事は、スポーツ観戦の中で急速に広がっている分野のひとつで、エンタメ要素との相性が非常に高い分野です。
競技会場での一体感を生み出し、選手が最高のパフォーマンスを発揮できるように考え抜かれた演出や進行を指します。オリンピックや世界大会などでも積極的に取り入れられ、競技によっては新しい競技者を引き寄せる役割を果たしています。

今、目の前のTVで、世界卓球の団体戦が行われています。会場に1台だけの卓球台が厳かな雰囲気と煌びやかな照明で包まれ、ワールドクラスの技術がぶつかり合っています。ゴールデンタイムの生放送です。
もう40年近く前の話ですが、中学時代私は卓球部に所属していました。当時、卓球は今異なりネクラの代表格とされていました。卓球を楽しむ”人”ではなく、どういうわけか卓球そのものが暗く地味なスポーツという印象が広がっていました。
それ為か中学卒業後も過去の部活動の話をする際、「卓球部!」と胸を張って言えない自分がいました。卓球は私私の大好きなスポーツで、何の恥ずかしいこともないはずなのにです。
もしかしたら、単に“ネクラのスポーツ”という世間の声が、私の中で卓球に対する別イメージを形成していたのかもしれませんね。

その後、平成の時代(2000年前後)に入り、女子卓球の活躍を機に人気が上昇。メディア露出も増える中、世界に通用する選手が登場することで、卓球の注目度は一気に高まりました。現役は引退されましたが、水谷選手のような男子選手も多大な人気を誇っていました。

令和となったここ数年、コロナ禍でスポーツ全般が影響を受けましたが、その後、卓球は世界大会が行われるたびに大きな盛り上がりを見せています。選手の好成績が大きな原動力であると同時に、スポーツプレゼンテーションが生み出す雰囲気も大きな影響を与えていると考えています。
この40年で卓球の競技人口は当時の約6倍の30万人、卓球人口は1000万人とも言われています。うち約7割は中高生だとのこと(2021年の日本卓球協会の登録人口等参照)。競技の盛り上がりが競技人口の増加に寄与し、次世代の選手が育ちやすい環境が生まれています。

真剣なスポーツの競技部分を守りつつ、エンタメとして昇華するスポーツプレゼンテーションは、現在はマイナー競技と見られているものを、多くの人が注目し、熱狂する競技に押し上げる力を秘めています。 そんな夢のある業界の存在を、今、目の前での世界卓球女子団体のメダルが確定した試合を見ながら改めて感じています。


エンタメのチカラ  Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.153(2024年3月号)

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プロフィール

西 高一郎(にし こういちろう) 
レジリア 代表
1971年生まれ。長崎県佐世保市出身。佐賀大学卒業後、イベント企画や WEB製作に携わる。2012年5月レジリアを設立。イベント制作・運営を軸 にWEBコンサル、制作ディレクションを手掛けている。特に、イベント 製作・運営では、プロモーションイベント、スポーツイベント、講演会などを中心に企業単位のものから大型のイベントまでこなす専門家と して、九州内外から依頼を受ける。

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