経営者の知恵を後継者に残すことで100年企業の基礎を築きませんか

企業の在り方がより問われる時代になった

当世ビジネス芯話

当世ビジネス芯話  ■編集人 宇野 秀史

連日のように社会貢献という言葉を見聞きする。環境や地域格差など社会が抱える問題をいかに解決するかということに対して、多くの人が関心を寄せているということであろう。アフガニスタンで人道支援に取り組んでおられた、NGOペシャワール会の中村哲さんの活動は社会貢献そのものだった。
これまでも環境保護をはじめ国際的な人道支援、福祉など社会的課題解決の重要性については様々な形で語られてきたが、企業や人びとの間に浸透しているという実感は低かったように思う。それが、今では大企業だけでなく中小企業や生活者まで社会貢献について学び、話題にする機会を持つようになった。

それには、SDGsが、大きな役割を果たしているようにも思える。最近では、小学校でもSDGsを教えているというから、その周りの大人たちの関心が高まるのも当たり前の動きであろう。地域に根差す中小企業が、そうした動きを無視するわけにもいかない時代となった。先日も、ある中小企業経営者が、「最近入ってくる学生や若手の社員たちが、SDGsや社会貢献事業について話題にする機会が増えた。企業の社会的存在意義を考えた場合、本業以外でも社会貢献への取り組みは必要になってきたのだろう。数年前までは、このような流れが起きるとは想像していなかった。当社でも、SDGs17項目の内、幾つかの項目について取り組もうと考え、検討を始めたところだ」と話していた。

社会貢献事業といえばNGOやNPOなどが行うもので、企業が事業として取り組んでも収支が合わないというイメージが強かったように思う。いわゆる社会貢献とは事前事業であり、ビジネスとしては成り立たないという考え方が大勢を占めていたのだろう。しかし、SDGsが注目されるようになったことで、企業、特に中小企業の意識も変わって来た。

SDGsは、事業を通じて社会課題を解決、しかも継続できるものであるという考え方を示しているからだといえる。つまり、社会貢献とビジネスが両立できるという認識が広まって来たということだ。社会課題を解決する取り組みの中に収益事業となり得るものも増えているし、それ以外でも社会貢献は企業にとって様々なメリットがあるということが理解されるようになってきた。投資会社が企業に投資する際、その企業が環境保護など社会貢献事業に取り組んでいるかどうかを判断の基準にし、環境に負荷を与えるような事業を手掛ける企業への投資は控えるような動きも出始めている。

人材採用で考え場場合でも、SDGsなどに取り組んでいる企業とそうでない企業とを比べた場合、学生の多くはSDGsに取り組む企業を選ぶ。社会貢献事業に取り組むことで、企業イメージが向上し企業価値も高まることにもなる。社会貢献事業について、中小企業経営者も前向きに考える時期に来ているようだ。

当世ビジネス芯話  Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.104(2020年2月号)

プロフィール

宇野 秀史(うの ひでふみ) 
ビス・ナビ編集人

昭和40年5月生まれ、熊本県出身。熊本県立第二高校、京都産業大学経営学部卒。出版社勤務を経て、独立。2017年7月、月刊ビジネス情報誌「Bis・Navi(ビス・ナビ)」を創刊。株式会社ビジネス・コミュニケーション代表取締役。歴史の知恵、偉人や経営者が残した知恵を綴る。また、経営者の知恵を後継者に伝える、知恵の伝承にも取り組む。

著書:『トップの資質』(梓書院、共著)、『田中吉政』(梓書院、解説)

コメント

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