問い合わせをじゃんじゃん獲得するホームページの作り方
■㈱ワイコム・パブリッシングシステムズ社長 田上恭由氏
当社はIT導入補助金の支援事業者として採択されており、ネットショップを作りたいというご相談をよくいただきます。
ところが、通販を全くご存知ない方の場合は、お断りしたり、違うやり方をご案内したりすることがあります。通販サイトさえ作れば通販事業が成功すると間違った思い込みをされているからです。
通販事業はネットも紙もどちらも実に苦しくて地味な世界です。苦労に苦労を重ねてコンバージョン(=受注。以下CV)が取れるキーワードを探し、売れるランディングページ(以下LP)を、試行錯誤を繰り返して作り、反響がとれる広告を探り、もっとCV率が稼げるLPやABテストを地道にやって、やっと売れたかな、という感じです。販促費が売上の四割かかるので、売れたけど利益は?の世界です。
なぜ、ネット通販は苦労したり、失敗したりするのでしょう。その理由は2つです。
①紙通販や店舗販売などの販売経験が一切ないまま始めようとしている
②全国のライバルとの激しい戦いにを認識していない
①通販は、「通心販売」と書く会社があるくらい、人間力やコミュニケーション力が大きく影響します。販売側が商品に惚れ込み、他では手に入らない良さを伝えたいという「熱意」を、コンテンツや同梱する冊子を通して伝える、完全に「アナログ」です。
②キーワードが全国区の場合、上位表示対策の難易度が、半端なく上がります。
通販サイトの場合、「りんご」や「かつら」、「サングラス」など、全国区のシングルキーワードでの競争となり、上位表示はめちゃくちゃ困難です。しかし、店舗集客HPの場合は地域名をつけて「サングラス 福岡」としますから百倍以上簡単です。
通販は「全国大会」しかありません。地区大会で勝てないのに、全国大会に出るなんてありえないでしょう?
もし、本気でネット通販やるなら、通販ビジネスを真剣に研究しましょう。同梱物には、通販の利益の源泉である「リピート客」創造の役割を果たします。通販では新規客を1人つくるのに、5,000円~10万円かかるのに対し、リピート注文コストはチラシ同梱や定期割引なので1/10以下です。商品に同梱された冊子やサンプルに、販売戦略が隠されています。
私のおすすめは、通販事業よりも、今売れているものや、新しく発売する商品・サービスをHPでしっかり紹介することです。通販よりも遥かに簡単に新しいお客様ができ、小さなコストで楽に成功できます。社員皆でどうやってホームページで売るかを一生懸命考えて実行すると、社員たちが嬉々として仕事に精をだすようになります。
IT時代に乗り遅れるな Bis・Navi(ビス・ナビ)Vol.133(2022年7月号)
プロフィール
田上 恭由(たがみ やすゆき)
㈱ワイコム・パブリッシングシステムズ 代表取締役
「ふくおか経済」記者・営業、中古車情報誌編集者、システム開発者を経て、平成9年個人創業、翌年法人成りして現職に。上級ウェブ解析士、採用定着士。小規模事業者のウェブサイト構築実績は七百件以上。顧客獲得や採用の課題を解決する手法に定評がある。IT導入補助支援事業者、認定支援機関として、補助金獲得実績も多数。
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