経営者の知恵を後継者に残すことで100年企業の基礎を築きませんか

歴史を学び見識を持つ大切さに気づかされる

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Books ■株式会社ビジネス・コミュニケーション 宇野秀史

『日本外務省はソ連の対米工作を知っていた』

江崎 道朗/著
育鵬社/刊
1,600円+税

ロシアがウクライナに侵攻し、ヨーロッパでの緊張が高まっている。今回の侵攻は防衛上の問題や宗教間の争いなど、いろいろな見方があるようだが、戦争という現象は同じである。なぜ、ロシアはウクライナ侵攻に至ったのか。それを理解するには、クリミア戦争や十字軍の遠征まで歴史を紐解かなければならないかもしれない。

日本も1941年12月8日に真珠湾を攻撃し、太平洋戦争に突入した。そして、1945年8月15日に終結するまで多くの人民が命を落とした。日本はなぜ、アメリカと戦わなければならなかったのか。様々な背景が考えられるが、そのうちの1つにソ連のスターリンが推し進めていた米国での共産主義勢力の拡大があったとも言われている。

それを裏付ける資料となっているのが、昭和16年に在ニューヨーク日本帝国領事館がまとめた『米国共産党調書』である。本書では、スターリンが主導するソ連共産党が、どのようにしてアメリカの世論を反日に導いていったのかについて、詳細な調書内容を元に分析を行った意欲作だ。

企業にも言えることだが、組織は内部から崩れることが多い。目の前に映し出される映像だけに踊らされるのではなく、自分なりの見識を持つためには歴史を学ぶことが大切だと気づかせてくれている1冊といえるだろう。

Books  Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.130(2022年4月号)

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プロフィール

宇野 秀史(うの ひでふみ) 
ビス・ナビ編集人
昭和40年5月生まれ、熊本県出身。熊本県立第二高校、京都産業大学経営学部卒。出版社勤務を経て、独立。2017年7月、月刊ビジネス情報誌「Bis・Navi(ビス・ナビ)」を創刊。株式会社ビジネス・コミュニケーション代表取締役。歴史の知恵、偉人や経営者が残した知恵を綴る。また、経営者の知恵を後継者に伝える、知恵の伝承にも取り組む。

著書:『トップの資質』(梓書院、共著)、『田中吉政』(梓書院、解説)

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