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消費税の還付申告

経営者と税理士と節税

経営者と税理士と節税   ■井上税理士事務所 所長  井上 伸一

一般的に事業を行っていれば、消費税は税務署に納めることになります。消費税の申告に簡易課税制度を用いれいれば、必ず納付することになります。しかし、一般課税制度(原則課税制度)を用いていれば、還付となる場合があります。

消費税が還付となるのは、お客さん等(売上先)から預かった消費税より、仕入先(購入先)に支払った消費税が多かった場合に起こります。輸出を主に行っている企業であれば、そもそも預かる消費税額がないので、必ず還付申告となります。
予定納税分が還付となる場合は、申告書を通常通り提出すれば、申告書に不備がない限り問題なく還付となりますが、本税が還付となる場合には、色々と添付書類が必要となります。

少し前までは、消費税の科目別の明細等の少ない資料の提出・添付で還付を受けることが出来ていました。ところが、昨年の「猫の消費税事件」からは、添付書類が増えています。この事件は、全国の催事場で猫と触れ合えるイベント「ふれあいねこ展」を企画する会社が、高価な猫を多数仕入れたように装い、消費税計約1億9200万円の不正還付を受けたり、受けようとしたりしたとして、経営者が逮捕されたというものです。

事業者は取引先や金額などを記した書類を提出し、税務署が整合性を審査することになります。疑問点があれば還付を止め、帳簿の提出を求めたりしますが、書類だけで不正を見つけるのは難しく、申告件数は年間約20万件に上るため全てを調査するわけにもいきません。その一方で、還付が遅れれば納税者に迷惑が掛かる上、利子相当の「還付加算金」を払わなければならず、税務署には、申告内容の精査と速やかな還付が同時に求められることとなります。

私の事務所では、10月決算・12月申告法人で消費税の還付申告を行いましたが、申告から3か月を過ぎた今でも、何かと追加資料を申しつけられ、まだ還付金は口座に入金されずにいます。還付加算金が増え続けてる状態です。

経営者と税理士と節税  Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.130(2022年4月号)

プロフィール

井上 伸一(いのうえ しんいち) 【税理士】
井上税理士事務所 所長
昭和46年、福岡県生まれ。長崎青雲高等学校、立命館大学法学部卒業。
平成11年、税理士登録。平成23年、井上税理士事務所開業。
中小企業の経営指導のほか、企業経営者・医師等に向けて各種セミナーを行う。

URL http://www.itax.jp/

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