Trend&News ■アネーラ税理士法人
福岡市中央区大名2丁目のアネーラ税理士法人(藤本周二代表)は今年1月、弁護士法人を設立した。同法人を核に税理士・公認会計士・社会保険労務士、監査法人、M&A仲介会社などでグループを形成しているが、今回の弁護士法人の設立は顧問先へのサービスの充実を図り、有資格者集団としてグループの総合力をさらに高める。

業務領域外まで相談される税理士
―新年を迎えた一月早々、弁護士法人を設立されました。まずは、設立にいたった経緯から聞かせてください。
藤本
税理士法人グループとして、日ごろから税務や財務、経営など様々なご相談を受けます。お客様からすれば、会う頻度も高いので相談しやすいのは確かです。頼りにされるのは嬉しいのですが、なかには、弁護士の領域にあたる内容のものも多々あります。我々としては専門外の内容について軽々にお答えできません。そのことを説明すると弁護士の紹介を依頼されますので、その際は提携している弁護士事務所に紹介するという対応をとってきました。
そうやってご相談いただいた案件は弁護士の対応によって一定の結論は出ますが、その後に弁護士事務所と顧問契約を結ばれる割合は少ないようです。顧問契約を結ばない大きな理由は、顧問料が負担になると感じているからだと思います。税理士は日ごろから接する機会が多く気心も知れているため、何かと相談しやすい。しかし、弁護士は何か問題が起きるまでは相談する機会がない。そう考える経営者が、弁護士の顧問料を負担に感じるかもしれませんね。
月額2万5000円から相談しやすい環境づくり
―弁護士との付き合いがない企業にとって、どのような問題をどの段階で相談すればよいのか、基本的な付き合い方からの理解が必要になりますね。
藤本
税理士と同じように顧問契約を結び、日ごろから相談できる関係を作っておくことがリスクを未然に防ぐという意味で必要なことだと思います。問題が起きても早い段階で対応できますから、結果として費用的にも精神的にも負担は軽くなるはずです。とはいえ、実際には弁護士との付き合い方に慣れていない企業が多いのではないかと思います。
そこで、お客様が日ごろから気軽に相談できる体制をグループ内で整えるため、弁護士法人を立ち上げ一緒に取り組んでくれる弁護士がいないかと知人に相談していました。
すると昨年の夏ごろ、「いい弁護士がいるから」と玖島代表を紹介されました。会ってみると仕事に対する考え方が近く人柄の良さに惹かれました。玖島さんの賛同もいただけたことから、すぐに弁護士法人設立に向けて準備を進め、年明けの1月に設立できたというわけです。

―顧問契約の金額はいくらからですか。
藤本
はじめやすいようにグループの顧問先は月額25,000円(税別)、顧問先以外は月額40,000円(税別)に設定しました。平均的な価格よりも続けやすい料金設定になっていると思います。会社経営者は間違った判断や対応が会社にとって悪影響を及ぼすこともあるわけですから、ちゃんとしておかないといけない。しかし、最初から敷居が高くては利用しづらいと考え、今回の料金設定となりました。
―確かに手頃ですね。どのような仕組みになりますか。
藤本
基本は相談のみです。来社やメールなどご都合に合わせてご相談いただければ、適切にお答えします。訴訟問題や急なお困り事などについては別途料金、あるいは、外部の提携弁護士に紹介するなど、お客様のご要望に添えるよう対応します。
労務問題にも注力
―弁護士に対する一般的なイメージは、敷居が高く、簡単なことは相談しづらいのかもしれません。そういう意味では、アネーラグループの顧問先や取引先との信頼関係は既に出来ていますから、クライアントにとっても相談しやすい環境が整っているといえます。対応する相談はどのようなものですか。
玖島
契約書のチェックから法律相談全般に対応します。特に、近年増加している労務問題などに関するご相談にも力を入れていきたいと考えています。
―玖島代表は、以前、労務士法人に所属されていた経験をお持ちですから、労務問題にもお詳しいようですね。
玖島
労務関係で悩まれる会社が多い時代ですから、これまでの経験を生かしてお役に立てればと考えています。例えば、休職している従業員がいるがどう対応すればいいのか。懲戒事由があった場合にどのような手順で進めればよいかといった相談など、お困りごとや疑問に思われることを気軽に投げかけていただければと考えています。もちろん、他の案件や重大な相談もお受けします。
―近年は、SNSが普及したことから、誰でも自由に自分の意見を発信することができるようになりました。それだけに、危険性を含んでいると感じています。
玖島
ネット上にいろいろ書かれて対応に苦慮しているというご相談もあります。SNSに親和的な人が増えており、いいことも悪いこともすぐに書いてしまう。それが、プライベートのことにとどまらず、会社の中の事まで発信してしまい問題になることもあります。その辺りのリテラシーが低くなっているということも要因として考えられますから、こうした問題は今後も増える可能性があります。

玖島敬一氏(右)
入社式に来ない
―何かあるとすぐにハラスメント扱いされるなど、従業員を指導、監督する立場の役職者も様々な場面での対応に苦慮していると聞きます。
玖島
ハラスメントといえば、昔は上司から部下に対するものというイメージでしたが、最近は逆に部下から上司へというパターンもあるようです。本人に自覚がないことも結構多く、いろいろなパターンがあります。経営者や管理職だけでなく、若手の教育も必要な時代になっています。
―最近の労務問題ではどのようなものがありますか。
玖島
労務問題に限った話では、従業員が来なくなったという話はけっこう多いです。正社員が連絡もなく出社しなくなったとか、退職代行サービスを使って退職の意思を伝えてきたが、どう対応すればいいかという相談もあります。
藤本
確かに、お客様と話していても「急に会社に来なくなって困っている。理由もわからない」というような話を聞きますね。
玖島
極端なケースでは、入社式に来ない人もいます。会社に対する帰属意識がだいぶ下がったという気はしますね。一つの所にずっといる年功序列的な社会ではなくなったのだと感じます。
―近頃は、副業を認めている会社もありますから、会社として管理するのは難しくなりましたね。
玖島
厚生労働省のガイドラインでは、許可制ではなく基本は認めるというスタンスです。認めるが、会社と同じ業務を営んではいけないという競業禁止はあります。副業されると、いつ休むのかという心配もあるので、基本は副業を認めていない会社の方が多いように感じます。
―就労形態だけでも複雑になっていますから、企業を守る弁護士さんの存在はますます大きくなりそうですね。新しい弁護士法人の代表ということで、抱負をお願いします。
玖島
まずは、お客様が困っているところ、ニッチな部分を埋められればと思っています。弁護士というと華やかな世界をイメージする方もいらっしゃるかもしれませんが、争いごとにならないのが一番ですから、予防に努めていければと考えています。まずは、そういう所から1年目は始めたいですね。
―アネーラグループの顧問先で、弁護士と顧問契約を結んでいるところはどのくらいありますか。
藤本
顧問弁護士がいる会社は全体の2割程度で、8割ほどは何かあったら頼むという状況だと思います。
―グループ外の企業を見ると、顧問契約を弁護士と結んでいる企業はさらに少ないといえるでしょうね。
玖島
国内の中小企業で弁護士と顧問契約を結んでいるところは極めて少ないと感じています。何かあったら知り合いの弁護士に相談しようというスタンスで、普段から顧問料を払っていざという時に備えようと考える企業は少ない。
みなさん、もっと活用していただければ、顧問料以上の価値になるとは思います。やはり、まだ、「こんなことで相談していいのだろうか」という雰囲気が抜け切れていないようです。
せっかく顧問料を払っているのだからもっと相談してほしいと思うのですが、気軽には相談しづらいとおっしゃる。ですから、そういう方々の受け皿になれればと考えています。顧問先からの相談であれば、トータルサービスがご提供できるのではないかと思います。
事業を増やして皆が活躍できる場を創造したい
―アネーラグループでは、税理士法人を核にサービスを拡充されていますね。グループの概要を教えてください。
藤本
現在、アネーラ税理士法人以外に税理士事務所、社会保険労務士法人、監査法人、M&A仲介会社に加えて今回の弁護士法人でグループを構成しています。職員数はグループ全体で230名ほどとなりました。
―そのうち資格者はどのくらいいらっしゃいますか。
藤本
税理士が32名(有資格者含む)、公認会計士が10名、弁護士1名、不動産鑑定士が1名、社会保険労務士が10名です。
―昨年は熊本と長崎に拠点を出されました。今年はどのような展開を考えていますか。
藤本
今年は拠点開設ではなく、各事業会社や拠点が成長することに力を入れます。具体的には、各拠点の売り上げベースで10%アップを目標に掲げています。そのために人も積極的に採用する計画です。
―グループの将来像をどのように描いていますか。
藤本
新しい事業を増やして活躍できる場をつくりたいと考えています。そのなかで人がどんどん増えて、グループ内での新陳代謝が盛んになる。しかし、途中退職者は出ない。そのような組織の理想像を描いて進んでいます。
会社概要
名 称 アネーラ税理士法人
住 所 福岡市中央区大名2-6-50 福岡大名ガーデンシティ10F
拠 点 福岡事務所、天神事務所、東京事務所、横浜事務所、佐賀事務所、北九州ひびきの事務所
グループ 社会保険労務士法人アドバンス、九州M&Aサポート株式会社、九州有限責任監査法人、
エスペランサコンサルティング株式会社、アネーラ弁護士法人
URL https://anera.or.jp/
Trend&News Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.176(2026年2月号)
「Bis・Navi」定期購読のご案内
「Bis・Navi(ビジネス・ナビゲーター)」は、書店では販売しておりません。確実に皆様にお読みいただくために毎月、弊社より直接郵送にて情報誌を送らせていただきます。この機会に是非、お読みくださいますようご案内申し上げます。
<定期購読料>
5,500円(消費税込み)
※1年分12冊をお送りします
※送料は上記料金に含みます
定期購読に関する詳細はこちらをお読みください。⇒「購読のご案内」




コメント