経営者の知恵を後継者に残すことで100年企業の基礎を築きませんか

一流を支える服装の流儀

愚公移山

公移山(4)「ある経営者の話」 【場を整える】―服装―
    「愚公移山」:困難な事でも努力を続ければ成し遂げられるという意

時代を映す服装

服装は、時代によって変化する世相を映す鏡である。日本の夏は毎年暑さを増しているため、夏に入るとラフな服装のビジネスパーソンが増えた。今では、夏場にネクタイを締めている人を探す方が難しい。

ネクタイの歴史を紐解くと、ずいぶん時代を遡ることになる。首回りを飾る風習は紀元前からあった。王などが、権力の象徴として身に着けていたもののようである。ネクタイのようなものが登場するのは少し時代が下る。中国では、始皇帝の時代に兵士が所属する部隊を表すために、ローマ帝国が栄えた時代には出兵する男性が、妻や恋人から贈られた布を首に巻いていたことがわかっている。首に巻いた布は、目印としての役割を果たしていた。

日本では、幕末にジョン万次郎がアメリカから持ち帰ったのがネクタイの始まりだそうだ。現代はネクタイを手軽に購入できるようになったが、以前は、ネクタイを締めることの価値は今とは比較にならないほど大きかった。会社や組織では、同じようなネクタイを締めることで所属意識を醸成したり、商談や面会にネクタイを締めることで、相手に対する敬意を表したりするものとしての意味合いもある。20年前に始まったクールビズの浸透であろう。今では、夏場のネクタイ族は極端に減った。

一流であるために自分に隙を作らない

しかし、こうした時代の変化を横目に一年中ネクタイを締めている会社もある。「ある経営者」は「服装は相手の期待を上回る格好をすべきです。そのためには、きちんとネクタイを締めるのは当たり前」と語る。確かに同社の男性社員は皆、真夏でもスーツにネクタイというスタイルを貫いている。靴もピカピカに磨かれていて隙がない。

同社が扱う不動産は高額商品である。クライアントには資産家も多い。だから、きちんとしておかないといけないというのが信条である。「ズボンのラインが入っていないと『だらしない』とみます。靴も『どうせ汚れるから』と不潔にする人は、すべてにおいてだらしなくなります」と言い切る。

ここまで服装にこだわるのは、「汚れている所から隙が出来る」からだという。心の在り方が環境を作り出しているということであろう。「私たちは法律に携わる仕事をしており、契約内容によっては、お客様が多大な損害を受けることがあります。そうならないように間違いや隙を見つけて、予測される危険に対して先手を打つことを求められます。つまり、お客様の隙を埋めるのが仕事ですから、普段から自分自身に隙があってはいけない。ちゃんとしようという意識がなかったら、隙が生まれ、それがミスにつながる」「だから、掃除と同じように汚れているところこそ、綺麗にしないといけない。靴を磨く人は、相手の靴を見ます。その時、靴が汚れていたら『この人は、心が乱れているのだろうか?』と思われ、それはいつか、『汚れている靴をのまま履く人は、信用が置けない』という不信感を抱くことになりかねない」と戒める。

お客は一流の仕事を求める。「一流の仕事をするためには、自分たちは一流であるという意識を持つことが大事。規模の大きさや上場が一流企業の条件ではない。一流の仕事をするためには、緊張感を保ち続ける力が必要です。そのためには、常にきちんとした服装を心がけ、自分自身を律する力を養う必要があります」と「ある社長」は話を結んだ。

この考え方が浸透すると、結果として社員の誇りが醸成され企業ブランドが高まることにつながる。服装の大切さを再認識する話である。

「愚公移山」(ぐこういさん・ぐこういざん)
      Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.176(2026年2月号)

「Bis・Navi」定期購読のご案内

「Bis・Navi(ビジネス・ナビゲーター)」は、書店では販売しておりません。確実に皆様にお読みいただくために毎月、弊社より直接郵送にて情報誌を送らせていただきます。この機会に是非、お読みくださいますようご案内申し上げます。
  <定期購読料>
     5,500円(消費税込み)
     ※1年分12冊をお送りします
     ※送料は上記料金に含みます

定期購読に関する詳細はこちらをお読みください。⇒「購読のご案内」

画像は2024年8月号です

コメント

タイトルとURLをコピーしました