絵本に学ぶ仕事術 ■有限会社ウーヴル 代表取締役 三宅 未穂子
「ママが美術館に行こうと言い出した。美術館についても楽しんでいるのはママだけ。ぼくもみんなも退屈だった、最初のうちはね。でもママはぼくらに絵を見る楽しさ、描く楽しさを教えてくれたよ。絵の中にはたくさんのヒントがあるんだ。そこで、ぼくらは絵を描くゲームをはじめた。シェイプ・ゲームをね!」(出版社のHPから引用)
4人家族のママの誕生日。子どもにとって退屈な美術館を、楽しい思い出に変えたママの知恵が詰まった一冊は、人材教育のヒントに満ちている。この絵本はぜひ手にして絵もみてほしい。
美術鑑賞の面白さは、オーガスタス・エッグの「過去と現在、その1」から始まった。ご存知の方も多いと思うが、この絵は大人の事情が描かれている。しかし、絵を読む手掛かりが多い絵だからなのか、読む楽しさはここから始まる。
次々と現れる絵。緻密に描かれた美術品と、そこから想像しデフォルメされた絵を見開きで見て味わってほしい。しだいに名画鑑賞は家族の体験と変わっていることが伝わってくる。
さて、絵本の名前になっているシェイプ・ゲームは、この先にある。美術館の帰りに買ったスケッチブック。そこに好きな形(シェイプ)を描いてみる。描いたものを次の人に渡す。受け取った人は何かを足して別の人に回す。次々に。さて何に見える?これがシェイ・プゲーム。描いていく途中に気づいて自分の想像に寄せてくることもできるし、めちゃくちゃに描いて思わぬ発見をするなんてことも。子どもは大笑いしながらゲームを楽しむはずだ。
「戦争」と言葉で説明しただけでは人のこと。真の理解のためには体験が必要なのだ。だから、ただ写真や絵を見ても戦争の怖さは伝わらない。でも決して戦争なんてしたくない。
人が長い時間かかって積み上げてきた物事の捉え方をシフトさせたいと思っても、新しい考え方を理解する体験がなければチェンジに時間がかかる。「絵を読む」とは体験をすること。チームで同じ絵本を読むとは、全員で体験の塗り替えをすることかもしれない。
絵本はビジュアル(絵)とナラティブ(物語)で追体験ができる。そして新しいシェイプ・ゲームで未来を想像し描き行動するきっかけをつくる。絵本×マネジメントの面白さが詰まった一冊である。
『シェイプ・ゲーム』
作:アンソニー・ブラウン
訳:藤本朝巳
出版社:評論社
発行:2004年
「絵本に学ぶ仕事術®」 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.176(2026年2月号)
プロフィール
三宅 未穂子(みやけ みほこ)
有限会社ウーヴル 代表取締役
2005年2月25日創立、翌06年3月15日同社設立。企業向け研修やキラキラ社員のプログラム(社員によるいい仕事のための自社内研修プログラム)業務改善アドバイスを手掛けている。

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