経営者と税理士と節税 ■井上税理士事務所 所長 井上 伸一
先日、税制改正大綱が発表されました。多くの改正点等がありますが、注目点は次の2つかとおもいます。①年収の壁を178万円に引き上げ ②NISAの対象を18歳未満にも拡大 の2点です。
①178万円という金額は、103万円の壁ができた当時の最低賃金を現在の最低賃金を比較して決められたようです。ですから、実際は減税というよりもインフレに対応した調整といった方がよいのかもしれません。時給は上がるのに、年収の壁のために働き控えが起こり、人材不足になるという、変な社会になっていましたが、この改正により人材不足の解消に繋がれば良いなと思いますね。
年収の壁の引き上げに伴って、配偶者控除や扶養控除の適用の判定に使われる合計所得金額も見直されます。これにより、配偶者のパート収入や子供のアルバイト収入が多少増えても扶養から外れにくくなるかもしれませんね。収入が「給与」なのか「請負」なのかは注意が必要です。給与所得控除の適用が有る無しで大きく変わりますので。
所得税の壁は上がりましたが、社会保険料負担の壁はそのままです。あまり話に上がりませんが、税金の壁よりも社会保険料の壁の方が大きいのではないかと思っています。今後、こちらの壁の変更になるんでしょうね。
ここ数年、基礎控除や給与所得控除の額が変更になったり、扶養の要件の見直しがありました。令和6年は定額控除もあったりして、扶養の是正通知が例年より多く税務署から届いているようです。皆さんのお手元にも届いていませんか。年末調整のやり直しということになります。
②これまで成人のみとされてきたNISAですが、今後はこの要件がなくなり、0歳から利用できるようになりました。0歳が稼いで、投資をするわけではありませんので、実際は、親が資金を提供し、運用を行うということになります。比較的お金に余裕がある家庭が、こどもNISAを利用するということになるでしょう。
多くの場合、自民党の税制改正大綱が、そのまま採用されます。法人税の改正も多々あるようなので、把握が大変です。
経営者と税理士と節税 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.175(2026年1月号)
プロフィール
井上 伸一(いのうえ しんいち) 【税理士】
井上税理士事務所 所長
昭和46年、福岡県生まれ。長崎青雲高等学校、立命館大学法学部卒業。
平成11年、税理士登録。平成23年、井上税理士事務所開業。
中小企業の経営指導のほか、企業経営者・医師等に向けて各種セミナーを行う。
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