絵本に学ぶ仕事術 ■有限会社ウーヴル 代表取締役 三宅 未穂子
朝と共に「今日」はやってくる。
「今日」はいつでも新しく、未体験の“どきどき”を孕んでいる。
コロナ禍を境に、社会や人々の“どきどき”する対象や意味すること、価値観は大きく変わった。社会構造・情報環境・価値観の転換。いろんな変化が起こっている。
「何かが変わりそうだ」という期待の“どきどき”もあれば「このままでいいのか」と不安の“どきどき”もある。苦手な人と話す“どきどき”も、好きな人と会うときの“どきどき”も、言葉にすれば同じだが意味はまったく違う。
生活の些細な出来事から、世界の反対側で起こる手に負えないこと。嬉しいことも悲しいことも“どきどき”は日常的にあちこちに転がっている。知らなかったことの扉が音を立てて開くときの“どきどき”。これは、ワクワクという仲間を引き連れてやってくる。よく知っているつもりだったことが、実は見当違いだったと気づくときの“どきどき”。成長の種が蒔かれる瞬間だ。
ハッとしたり、ヒヤッとしたり、
世界は“どきどき”であふれている。
その「世界中の“どきどき”」を、様々な生き物をメタファにして描かれている一冊が『どきどきしてる』だ。温度や、波動、匂いや音まで五感で味わえる絵に心が反応する。激しい感情を表す場面では大胆な色づかいが目に飛び込み、さわさわする“どきどき”では、不安な色彩が広がっている。大きく羽を広げたクジャクの登場は強烈だった。圧倒されて“どきどき”する。クジャクの自己顕示欲が、ぐいぐい強烈に押し迫ってくるので、心が反応するのだ。すごい絵だ。雪原に小さく描かれた白熊の場面では、「さみしくて」と書かれているけれど、私には、―これから必ず出会うはずの誰かーを想像するときの“どきどき”に感じてしまう。全ての生き物は“どきどき”するのだ。
人によって読んで観て立ち上がる感情はきっと違うはず。だからこそ、この絵を見た人に「どんな“どきどき”に見えた?」「なぜ“どきどき”してると思う?」と問いかけてみたくなる。どう感じたか!は、きっと相手を知るいい手掛かりになるだろう。この絵本はそうできると思える力がある。何故って、同じ木版画である棟方 志功を思わせる迫力を持っているから。
朝は必ずやってくる。その「今日」に“どきどき”しようよと、力強く教えてくれる絵本をお届けしたい。
「絵本に学ぶ仕事術®」 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.175(2026年1月号)
プロフィール
三宅 未穂子(みやけ みほこ)
有限会社ウーヴル 代表取締役
2005年2月25日創立、翌06年3月15日同社設立。企業向け研修やキラキラ社員のプログラム(社員によるいい仕事のための自社内研修プログラム)業務改善アドバイスを手掛けている。

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