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『ちいさなゆめがあったなら』

絵本に学ぶ仕事術

絵本に学ぶ仕事術  ■有限会社ウーヴル 代表取締役 三宅 未穂子

企業経営の核となるMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)。
中でも、自社のビジョンは、社員一人ひとりが自分を投影できるものになっているか――。この問いは、組織の熱量を測ることができるのではないだろうか。抽象的で壮大なミッションは、現場の人にとって遠い存在になりがちだ。
前回の『ルピナスさん』で触れた“理念の尊さ”を、持続する行動に変えるには、日々の営みまで落とし込める具体的で情景が浮かぶ共通言語が欠かせない。その共通言語をビジュアルナラティブが含まれる絵本で表現できる――という提案が絵本に学ぶ仕事術である。

今日は、絵本『ちいさなゆめがあったなら』から、ビジョンを共通言語に変換するヒントをお届けしたい。
―ちいさな おかが あったなら あそこ と なまえを つけましょう。あらしのひも はれのひも あそこは あたしの かえる ばしょ。―

絵本の少女は、自分の描く小さな夢に、ひとつずつ名前をつけていく。
「ちいさなおにわ」は「まるごと」。花も葉も根も種も、全部が自分の栄養だから。
「ちいさな池」は「ふしぎ」。水の上と下、どちらにも美しい世界が広がっているから。
「ちいさなふね」は「たからもの」。心がきらきらする冒険へ連れて行ってくれるから。
「ちいさないす」は「ちからもち」。疲れたときはそっと受けとめ、友だちを待つ時間を支えてくれるから。
少女の名づけは、夢の世界を具体的にした「未来像」を、それをシンプルでわかりやすい名前にしたものだ。この理由とそれを現わす絵によって共通言語が磨かれる。

夢を一言で語るなんて難しい。
でも一言で想起できる言葉は確かにある。
この絵本が教えてくれるのは、Tシャツにプリントできるほど身近で愛着のある言葉に変える力だ。
そして、その言葉に含まれる意味が、社員一人ひとりが確かに感じられるものがいい。

社員がビジョンから見出す「ちいさなゆめ」の総和こそが、企業の未来を形づくる。その夢をあらゆる場面の情景として描き直し、意味ある言葉として名づけ直す作業のヒントとなれば幸いだ。
オレンジと青の濃淡で描かれた絵本の世界は、ちいさな夢の温かさと伸びやかさを現わしている。

『ちいさなゆめが あったなら』

 文 :ニーナ・レイデン
 絵 :メリッサ・カストリヨン
翻 訳:よしざわ たまき
発売元:工学図書(山烋のえほん
発売日:2024年8月

「絵本に学ぶ仕事術®」   Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.174(2025年12月号)

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プロフィール

三宅 未穂子(みやけ みほこ) 
有限会社ウーヴル 代表取締役
2005年2月25日創立、翌06年3月15日同社設立。企業向け研修やキラキラ社員のプログラム(社員によるいい仕事のための自社内研修プログラム)業務改善アドバイスを手掛けている。

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画像は2024年8月号です

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