株式会社ワイコム・パブリッシングシステムズ社長 田上恭由氏
「うちの商品はすごく良い。でも、どうアピールすればいいかわからない」。熱い想いを込めて商品を開発したのに、営業で使う説明資料がないという方がいました。
そこで、その方の目の前で、わたくしはある試みを行いました。「商品のセールスポイントを自由に語ってください」とお願いし、その言葉を文字起こししてＡＩに入力したのです。すると、わずか一時間ほどで、論理的で説得力のある資料の原稿が生成されました。自身がうまく言葉にできなかった想いが「商品の機能がこの課題をこう解決します」と見事に明文化された資料を見て、経営者は深く頷き、「そうそう、こういうこと！」と長年の悩みが解消されたように感嘆されました。
この奇跡は、特別なスキルを必要としません。
営業資料の作成は、①パワーポイントを前に構成を考える作業に膨大な時間がかかる、②「この言い方で伝わるか」という「表現力・言語化の不安、③限られたプレゼン時間内で、簡潔に伝える構成にするという課題があります。これらはＡＩにむかって「話すだけ」ですべて解決できるのです。
ＡＩ活用プレゼン資料作成の３ステップ
１ 音声で文字入力する。ＰＣやスマートフォンの音声入力機能を使って語ります。お客様からの質問や開発秘話、商品への想いなど、頭に浮かんだことをそのまま言葉にするのです。この飾り気のない「話し言葉」こそが、資料に「人間らしさ」と「説得力」を与える源泉となります。
２ 文字起こしをＡＩツール（ＣｈａｔＧＰＴなど）にコピペする。誤変換などの細かい修正は気にせず、そのままでＯＫです。
３ ＡＩに資料作成を指示する。具体的な指示を与えます。「企画書を作成。提案先は〇〇業界の〇〇会社営業部長で、〇〇の課題を持つ方」といった具合です。ＡＩはあなたの話から要点を抽出し、論理的な構成を組み立て、ターゲットに響く言葉遣いへと磨き上げてくれます。
「話すだけ」の営業資料作成術は、資料作成の時間を大幅に短縮でき、「五分で心を掴む」ための、簡潔で強力な資料が効率的に作れます。ぜひ、ＡＩを頼れる「相棒」として、伝わる営業資料づくりで活用してみてください。
IT時代に乗り遅れるな Bis・Navi（ビス・ナビ）Vol.170（2025年8月号）
プロフィール
田上 恭由（たがみ やすゆき）
株式会社ワイコム・パブリッシングシステムズ 代表取締役
「ふくおか経済」記者・営業、中古車情報誌編集者、システム開発者を経て、平成９年個人創業、翌年法人成りして現職に。上級ウェブ解析士、採用定着士。小規模事業者のウェブサイト構築実績は七百件以上。顧客獲得や採用の課題を解決する手法に定評がある。ＩＴ導入補助支援事業者、認定支援機関として、補助金獲得実績も多数。趣味はマラソン、バー巡り、写真撮影。
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