経営者と税理士と節税 ■井上税理士事務所 所長 井上 伸一
前回は、不動産小口運用商品を用いて、価値を下げずに評価のみを下げる方法をご紹介しました。今回は、無配当終身介護保障保険をご紹介します。
評価を下げる方法についてお話ししていますので、簡単にこの生命保険の性質を「評価」のみに注視してご説明します。
この保険は、一定期間の解約返戻金が0(ゼロ)となり、一定期間経過後は解約返戻率が約100%となります。例えば、契約者を父、被保険者を子供として毎年1,000万円を5年間支払うという契約をしたとします。1回目から4回目の保険料を支払った際の規約返戻金は0となり、5回目の保険料を支払って1年経過をすると解約返戻金は約5,000万円となります。
もし、契約から4年11ヶ月経過時に契約者である父が亡くなった際には、解約返戻金相当額で当該保険契約の評価を行いますので、約5,000万円の支払保険料の評価は0となります。
その後、契約者の死亡から2ヶ月(最初の保険料払い込みから5年1ヶ月)を経過して当該保険契約を解約すれば、約5,000万円の返戻金が受け取れます。こんなに都合よく話が進むことも少ないでしょうが、10年での支払も可能です。
この保険契約の最重要注意点は被保険者が亡くなった場合には、解約返戻金は発生しませんし、保険金の支払もありませんので、払込金額と同額の死亡保障保険の同時加入も必要です。
①相続発生時に大きな節税効果
個人が契約者の場合は、契約者の死亡時期によっては、支払保険料の全額の評価が0となりますので、大きく相続財産を圧縮できます。もし、払込期間よりも契約者が長生きした際には「長生きして良かったね」ということなり、預金口座に置いていた最初の状況に戻るだけで、ほとんど損はありません。
②法人契約で株の評価を下げる
法人契約であっても、払込期間中は返戻金が0なので、保険料を支払った分は評価が下がります。株価が下がった時に生前贈与を行うという方法も有用ではないでしょうか。
このほかにも有効な利用方法はありますので、ご興味がある方はご連絡ください。
経営者と税理士と節税 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.170(2025年8月号)
プロフィール
井上 伸一(いのうえ しんいち) 【税理士】
井上税理士事務所 所長
昭和46年、福岡県生まれ。長崎青雲高等学校、立命館大学法学部卒業。
平成11年、税理士登録。平成23年、井上税理士事務所開業。
中小企業の経営指導のほか、企業経営者・医師等に向けて各種セミナーを行う。
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