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評価を下げる①

経営者と税理士と節税

経営者と税理士と節税   ■井上税理士事務所 所長  井上 伸一

現金1億円は、誰が評価をしても1億円であり、価値も1億円です。「評価を下げる」とは価値はほぼ1億円のまま相続税評価額を下げるということです。
よくある方法としては、アパートやマンションを建てることにより土地を貸家貸付地として評価し、評価額を下げるというものです。なぜ、アパートやマンションのような貸家を立てれば評価が下がるのかご存知でしょうか。いったん、貸家を経営すればそこには借家人(店子さん)が発生します。借家人がいれば、オーナーある地主さんは自分の好きなようにその土地建物を利用できなくなります。借地権・借家権が発生するのです。ですから自用地(地主さんが自分で自由に使っている土地)に比べて評価が下がるのです。

色々な住宅メーカー等がこの方法を宣伝しています。評価減を行う方法としては良いのかもしれませんが、当然、リスクもあります。どのようなリスクがあるでしょうか。最も大きなリスクとしては、「満室、あるいは満室に近い状況が続くのか」ということでしょう。建設当初は新しい物件でしょうから、場所さえ良ければ入居はあるかもしれません。しかし、年月が経ち物件が古くなるとどうなるでしょうか。住宅メーカーによっては、長期間の満室保証やサブリースの提案を行っているところもあります。

満室保証とは一定期間の募集期間を定め、その期間内に満室にならなかった場合には保証会社や不動産会社が満室になるまでオーナーに満室分の家賃を保証する制度です。通常、その満室保証システムは、満室になり次第終了し、その後は通常の管理システムとなります。

サブリースとは保証会社や不動産会社がアパートやマンションの一括借り上げをするシステムです。満室時の家賃額の80~90%を支払うシステムで、一般的な期間としては10年間が多いようです。中にはもっと長い期間を保証するところもあるようですが、当初の契約通りにずっと続くとは限りません。また、金額によっては、収益性が低下することもあります。最近は民泊施設での借り上げ契約の提案もあるようで、これまでトラブルとは違った種類の問題が発生しているようです。

このように、評価が下がるメリットと収益性等のリスクを勘案して不動産投資を行う必要があります。評価も価値も下がってしまえば意味がないのです。価値を下げずに評価のみを下げるということが重要となります。

経営者と税理士と節税  Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.168(2025年6月号)

プロフィール

井上 伸一(いのうえ しんいち) 【税理士】
井上税理士事務所 所長
昭和46年、福岡県生まれ。長崎青雲高等学校、立命館大学法学部卒業。
平成11年、税理士登録。平成23年、井上税理士事務所開業。
中小企業の経営指導のほか、企業経営者・医師等に向けて各種セミナーを行う。

URL http://www.itax.jp/

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画像は2024年8月号です

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