談話室 五三の桐 ■江上慎也司法書士事務所 所長 江上 慎也
遺言書を作成するにあたり、すべての相続人が不満を持たないような遺言書をつくるのはなかなか難しいところであります。配偶者に多く残したいとか、相続人のうち自分の看病、介護をしてくれた子どもに多く遺産を残したいと思うこともあるでしょう。しかし、単純にそのような遺言を残しただけでは相続人の間で争いがおきる可能性もあります。
そうしたことを防ぐために遺言書の中に「付言事項」を加えることが大切になってきます。
付言事項とは簡単に言うと、遺言書を作成した人から相続人に対するメッセージのことです。なぜこのような遺言になったのか、という遺言者の真意を明確にしたり、思いを伝えることで紛争を防いだり、とりわけ感情的な対立が起こる可能性を低くすることが期待されます。
また、付言事項のなかで家族やこれまでお世話になった人への感謝の気持ちを表したりする方もいらっしゃいます。
簡単に具体例を挙げますと、「介護をしてくれた長女に感謝の気持ちを込めてより多くの財産を残しました」とか「思い出がのこっている家なので3回忌が終わるまでは維持してほしい」など自由に記載することができます。
ただし付言事項には法的な効力はありませんので、遺言者の希望を書いたとしても必ずその通りになるとは限らないという点に注意が必要です。
「談話室 五三の桐」 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.165(2025年3月号)
プロフィール
司法書士江上慎也事務所 所長 江上 慎也(えがみ しんや)

昭和50年、福岡県生まれ。福岡県立明善高等学校、九州大学法学部卒業
平成10年、司法書士試験合格。約20年間福岡市内の司法書士事務所に勤務。
平成30年、司法書士江上慎也事務所開業。
趣味は登山・キャンプ、楽しくお酒を飲むこと、映画鑑賞や博物館めぐりです。
小学校の親父の会等の地域のPTA活動にも参加しています。

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