経営者と税理士と節税 ■井上税理士事務所 所長 井上 伸一
最近何かと話題の「壁」問題。いわゆる「〇〇万円の壁」という問題です。この問題を理解・解決するためには、税務・社会保険の両面からの理解・整理が必要となります。ご本人の収入よりも、配偶者の立場等の方が大切かもしれません。
まず、壁の種類には、昨年までは、①100万円、②103万円、③106万円、④130万円、⑤150万円、⑥201万円の6種類がありました。このうち、①②⑤⑥が税務での壁、④⑤が社会保険の壁となります。このところ話題になっているのが②の103円の壁です。今回の税制改正大綱では、この103万円が123万円に変更になる旨が記載されるようです。
現在の税務では、配偶者控除と配偶者特別控除を考慮する必要があります。配偶者控除とは、昨年までは、配偶者の合計所得が48万円以下(給与所得ならば103万円以下、給与所得控除が55万円あるため)等の一定の条件を満たしている場合に受けられる控除です。配偶者特別控除とは、配偶者控除の範囲を超える所得がある場合に、その所得に応じて一定の所得控除が受けられるものです。ですから、配偶者控除と配偶者特別控除の両方を同時に受けることはできません。私がこの仕事を始めた当時は、両方の控除を受けることができました。年々、税法も変わります。
今年からは、103万円の壁を越えます。123万円までの給与収入であれば、税金が掛からず、夫(又は妻)が配偶者控除受けることができるというものです。ここでいう、123万円の内訳は基礎控除と給与所得控除がそれぞれ10万円加算され、基礎控除が58万円、給与所得控除が65万円となるようです。しかし、これまでも「103万円以内の給与だったけど、市役所から住民税の支払い通知が届いた」というようなお話があります。それが、①100万円の壁です。住民税の計算方法は、各自治体によって異なります。自治体によっては、100万円を超えると住民税が発生するところもありますので、注意が必要です。おそらく、今年以降も123万円以内の給与収入であっても住民税が課税される場合があると思われます。
経営者と税理士と節税 Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.163(2025年1月号)
プロフィール
井上 伸一(いのうえ しんいち) 【税理士】
井上税理士事務所 所長
昭和46年、福岡県生まれ。長崎青雲高等学校、立命館大学法学部卒業。
平成11年、税理士登録。平成23年、井上税理士事務所開業。
中小企業の経営指導のほか、企業経営者・医師等に向けて各種セミナーを行う。
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