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『世界で最後の花~絵のついた寓話』

絵本に学ぶ仕事術

絵本に学ぶ仕事術  ■有限会社ウーヴル 代表取締役 三宅 未穂子

『思想の違いから信念対立が巨大化して起こる戦争は、多くの犠牲を伴っても、幸せという成果を生み出すことはない。何も国と国の紛争だけを指しているのではなく、日常の些細な修復不可能な人間関係も含めていえることだ。
人間関係の中心は「言葉」。その言葉が正しく機能できないと違いという溝が生まれる。世界が違いを主張して戦争になったら…。 

1939年第二次世界大戦の年に生まれた絵本から考えてみたい。
『世界で最後の花』は大人向けの絵のある寓話。作者のジェームス・サーバー氏は、雑誌『ザ・ニューヨーカー』の編集者・執筆者としても活躍し、多くの本を世に出した人物。子どもの頃の怪我がもとで徐々に視力が奪われ、晩年にはほぼ全盲状態だったという。『虹を掴む男』や『LIFE!』という映画の原作者と言った方が知っている人は多いかもしれない。

視力が弱い人だったと知って絵を観ると、走り描いたような荒さも勢いのあるタッチに見える。混とんとした社会へ正面から突き付けてく力強さがある。ガツンと来るお話に、心がざわつく。決して絵空事ではない物語。戦争によってすべてを失った荒れた世界と、原始のままの姿から始まる。
一人の女性が枯れかけた一輪の花を見つける。世界で最後に残った花だ。それを一人の青年と共に生き返らせる。花は生き返り小動物がやってくる。林も森も蘇る。女性は自我が芽生え、男性と恋に落ちる。子孫が増え町や村が生まれ、世界に歌が戻ってくる。人々は仕事を得ていく。兵隊も生まれる。思想家が社会を揺さぶる。人は豊かさを比較する。当然起こるのは、過去の戦争の記憶を失くした人間によって新たな戦争。また何もかも失くした地上となってしまう。そして、世界で最後の花を見つける、だろか・・

歴史は繰り返される。どうやったらこの悪循環を止めることができるのだろう。どうやったら、平和な社会が作れるだろう。誰もが幸せに暮らせるだろう。人は、戦わなければ平和に気づくことはないのだろうか。
もしも、最後の花が「言葉」だとしたら、世界で最後に咲く花の種は一人一人の中にある。よき言葉は幸せを生み人類を平和に導くだろう。言葉によって心の溝を作ることなく、もっと増やして美しい社会をつくる。そうなりますように、始めの一冊としたい。

『世界で最後の花 絵のついた寓話』

作・絵:ジェームズ・サーバー
訳  :村上 春樹
出版社:ポプラ社
発 行:2023年


「絵本に学ぶ仕事術®」   Bis・Navi(ビス・ナビ) Vol.163(2025年1月号)

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プロフィール

三宅 未穂子(みやけ みほこ) 
有限会社ウーヴル 代表取締役
2005年2月25日創立、翌06年3月15日同社設立。企業向け研修やキラキラ社員のプログラム(社員によるいい仕事のための自社内研修プログラム)業務改善アドバイスを手掛けている。

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