談話室 五三の桐 ■江上慎也司法書士事務所 所長 江上 慎也
さて今回のテーマの一つである「おひとりさまの相続」ですが、例えば現況が一人暮らしであった場合でも遠方に子どもがいる場合は当然その子供が法定相続人となります。被相続人が遺言を残していなければ法定相続分で相続するか、子どもたち全員で遺産分割協議をひらいて遺産分けをすることになります。子どもや孫がおらず、父母も既に亡くなっている場合は兄弟姉妹が法定相続人となり、遺産がどこに行くのかはある程度確定されます。
しかし、上記の法定相続人が全くいない場合は少々面倒な手続きが必要になります。家庭裁判所によって「相続財産管理人」が選ばれ、被相続人と生計を同じくしていた人や被相続人の療養看護に努めたひとなど、具体的には内縁関係にあった人、事実上の養親子、親身になって長年看護した人などいわゆる「特別縁故者」や被相続人に対する債権者を探し、そのような人がいれば遺産を分配します。
特別縁故者や債権者がみつからない場合は遺産は国庫に帰属、つまり国のものとなってしまいます。そのようなことを避けるためには遺言書を生前にきちんと作っておき、誰に遺贈したいのか、あるいはどこかの団体に寄付をしたいのか、などということを明らかにしておくとよいでしょう。
「談話室 五三の桐」 Bis・Navi（ビス・ナビ） Vol.163（2025年1月号）
プロフィール
司法書士江上慎也事務所 所長 江上 慎也（えがみ しんや）
昭和５０年、福岡県生まれ。福岡県立明善高等学校、九州大学法学部卒業
平成１０年、司法書士試験合格。約２０年間福岡市内の司法書士事務所に勤務。
平成３０年、司法書士江上慎也事務所開業。
趣味は登山・キャンプ、楽しくお酒を飲むこと、映画鑑賞や博物館めぐりです。
小学校の親父の会等の地域のPTA活動にも参加しています。
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