株式会社ワイコム・パブリッシングシステムズ社長 田上恭由氏
経験なくてもマーケティングの企画立案が可能に
従来のホームページ制作では、担当者が持つ、マーケティングの知識や経験が重要な差別化要因でした。特に企画立案段階での「ターゲット設定」「競合分析」「ポジショニング」「ブランディング」といった要素は、経験がないと難しいとされてきました。
しかし、ＣｈａｔＧＰＴなどの生成ＡＩの登場により、この常識が覆されつつあります。驚くべきことに、マーケティングの経験が少ない人でも、適切なプロンプト（指示）を使うことで、企画立案から具体的な提案まで、一定水準の成果物を作れるようになったのです。
特筆すべきは、月額3,000円程度で、これまでは、一定のスキルと経験がないと作れなかったレベルのマーケティング提案が、今日入ったばかりの新入社員にも可能になった、ということです。生成ＡＩを活用することで、誰が担当しても一定の品質（100点満点であれば70点程度）の企画書が作成できるようになりました。これにより、「原稿をもらってそのままホームページに載せる」だけの会社から、「マーケティング提案と結果を出せる会社」へと、一瞬のうちに変貌することすらも可能になっています。0が70点になるわけなので。
求められる新しいスキルと活用法
生成ＡＩの変化は制作会社にとって両刀の剣となります。単純な作業や定型的な企画立案は、ＡＩに代替される可能性が高くなっているためです。これからのＷｅｂ制作会社に求められるのは、以下の能力です。
●クライアントの真のニーズを引き出すヒアリング力
●ＡＩの出力を適切に評価・調整できる判断力
●クライアントとの信頼関係を構築するコーディネーション能力
さらに、この変革は制作会社だけでなく、企業の新規事業立案やマーケティング戦略の検討にも活用できます。既存のホームページコンテンツを生成ＡＩに分析させることで、新たな事業展開のヒントを得ることも可能になっています。
Ｗｅｂ制作やマーケティングに関わる全ての人々は、このパラダイムシフトに備える必要があります。生成ＡＩを効果的に活用することで、これまでよりも効率的で質の高いマーケティング活動が可能になる一方、従来型の作業やスキルに依存したビジネスモデルは、早急な見直しを迫られることになるでしょう。
今後数回に分けて、具体的にどのように生成ＡＩをＷｅｂマーケティングで生かしていくかについて、お伝えしていきます。
ほんの数秒待つだけに・・・
IT時代に乗り遅れるな Bis・Navi（ビス・ナビ）Vol.162（2024年12月号）
プロフィール
田上 恭由（たがみ やすゆき）
㈱ワイコム・パブリッシングシステムズ 代表取締役
「ふくおか経済」記者・営業、中古車情報誌編集者、システム開発者を経て、平成９年個人創業、翌年法人成りして現職に。上級ウェブ解析士、採用定着士。小規模事業者のウェブサイト構築実績は七百件以上。顧客獲得や採用の課題を解決する手法に定評がある。ＩＴ導入補助支援事業者、認定支援機関として、補助金獲得実績も多数。
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